ブログ メニュー

日本の夏におすすめのカレーと健康に悪いカレーの違い

2022年7月16日

 

日本の夏に向くカレーと健康に悪いカレー

 

スパイスが食欲を増すため、夏になるとカレーを食べる人も多くなります。

カレーは薬膳だから、スタミナが付くからなどと良いイメージが先行していますが、体に良いと思って食べているカレーでもかえって健康に悪い場合もあります。

ここでは、日本の夏に向くカレーと向かないカレーを中医学と薬膳の視点から解説します。

 

健康面から考えて日本の夏に向かないカレー

日本の夏は暑さだけでなく蒸し暑さが特徴ですね。

暑いと汗で体温調節をしますが、水分だけで失った体液を補充しようとしていると、ただ体の中を流しているだけで細胞をしっかり潤せていない場合があります。

汗をかくことで、体温調節ができ一旦涼しさを感じますが、カレーのスパイスは体を強く温めます。

そのため、体温が上昇するので汗をかいて冷却するのです。

ところが、更年期以降の女性や男性高齢者は体の潤い不足の陰虚の状態になっています。

その状態で辛いカレーを食べると汗で潤いが失われ、更に陰虚が進んでしまいます。

日本の夏に向かないカレーの一つ目は辛すぎるカレーです。

 

辛すぎるカレーが健康に悪い理由

暑がりで、常に氷水や冷たい飲み物を飲んでいる人は、必要な水分を体に溜めておくことが苦手なタイプかもしれません。

このタイプは、日頃からトイレが近くよく汗をかきます。

その状態で辛いカレーを食べて大量の水を飲む行為は、上がった体温を下げようと何杯も水を欲する割になかなか冷やすことができません。

そのため大量の水分を摂ることになるのです。

汗は体温調節だけでなく老廃物を出すので、たくさんかいた方が良いと思われがちですが、ぐっしょり濡れるほど汗をかいた後は疲れを感じることはありませんか?

これは、汗と一緒に体の構成要素の「気」が出て行ってしまうからです。

「気」は臓器を機能させたり、血巡りや水巡りなどに関係する大切な要素なので、気が失われた気虚だとだるく感じたり、気力が無くなり、何より消化器系の働きが落ちて夏バテになってしまう可能性があります。

スタミナをつけようとカレーを食べたのにかえってこれでは逆効果なのです。

また、水分を摂ってもトイレにあまり行かない人もいます。

汗はかきますが飲んでいる割にトイレに行かないと過剰な水分は体の中に溜めることになりますね?

つまり、むくみや水太りになってしまうのです。

このタイプが辛すぎるカレーを食べて大量に水を飲むと、更にむくみ重だるくなってしまいます。

余りに辛すぎるカレーはこのように健康的ではないのです。

次に一般的に家庭で作るカレーに使うルーを見てみましょう。

 

日本の夏にカレーで胃もたれを起こす原因

市販のカレールーの多くは油脂がたくさん使われています。

原材料表記を見ると、割合の多いものから書かれているのでカレーより油脂の方が多いのが分かると思います。

この油脂の多さが、日本の夏には向かないのです。

なぜなら、日本の夏は湿度の高さが人の体にも影響し、消化器系に当たる五臓の「脾」を弱らせる季節だからです。

「脾」が弱っている所に、更に追い打ちをかけるのが油脂。

「脾」は湿気だけでなく、脂っこいものやこってりしたもの、砂糖を使った甘い味付けの物で弱りやすいのです。

油脂はほとんどが牛脂や豚脂です。

牛脂と言えばすき焼きで肉を焼く白い塊。

熱が加われば液体になりますが、冷えれば固形です。

冷たい飲み物や食べ物を摂る機会の多い夏は、サラサラの状態から冷やされて元の固形状態に近くなるイメージです。

冷たい水を飲みながら、牛脂や豚脂の入ったルーで作るカレーが胃もたれする原因はこれです。

日本の夏に向かないカレーの二つ目は油脂を多く使ったルーで作るカレーということです。

カレーが好きな人の食べ方を見てみると「カレーは飲み物」なんて言う言葉が浮かびます。

カレーをご飯にかけて食べるカレーライスだと、あまり噛まずに飲むように食べてしまうからです。

あまり噛まずに食べるとどんな点でカレーが健康に悪い原因になるのでしょうか。

 

夏にカレーをあまり噛まないのは特に健康に悪い

どんな食事にせよ、よく噛むことは大切です。

あまり噛まずに食べることの弊害は、満腹中枢が働いて満腹感を感じる前にたくさん食べてしまうこと。

もうひとつは、噛むことは食物を細かく砕くだけでなく、唾液を混ぜることで消化酵素を混ぜた状態で胃に送れる状態にします。

そして、噛むことで胃にも刺激が加わり、胃の消化酵素が分泌されるので入って来た食物をしっかり消化するスタンバイができるのです。

あまり噛まずに飲んでしまうとこれらができず、胃に負担がかかるのです。

胃で消化するためにエネルギーを使うことは「気」を消費すると言うことなので、疲労や夏バテ予防には「カレーは飲み物」なんて避けたいのです。

この点から、カレーをしっかり噛める状態にするか、もしくは食べ慣れたカレーでも意識してよく噛むことが大切です。

日本の夏に向かないカレーの三つ目は噛まなくても食べられてしまうカレーです。

 

カレーとナン

 

このようなカレーは日本の夏の気候に合わず、健康に悪いカレーと言えるでしょう。

では次に、これまでの事を踏まえて健康的なカレーについて書いていきます。

 

日本の夏の特徴を考えた健康的なカレー

日本の夏が暑さと湿度と言う特徴を持つため、次のことに気をつけたカレーなら健康的なカレーと言えます。

1.辛すぎないカレー

辛いことが悪いと言うより強く体を温めるため、体温が上がり必要以上に汗をかいてしまいます。

食べながら大量の水を飲めば胃液が薄まり、消化力が落ちることになります。

また、消化器系のシステムは湿気だけでなく冷えにも弱い特徴があります。

大量の冷たい水はまさに消化器系を弱らせる条件が揃っていると言うこと。

辛すぎなければ、水を飲んでも飲みすぎるほどは飲まないで済みます。

特に潤い不足の更年期以上の女性と高齢男性は激辛カレーは避けるべきでしょう。

 

2.ルーに牛脂や豚脂が使われていないカレー

スパイスカレーと言って自分でスパイスを調合してカレーを作れば牛脂や豚脂が入ったルーを使わなくても作れます。

ですが、市販のカレールーでもとろみつけやコクを他の材料で補っているものもあります。

ルーを購入する時に、裏の原材料を見て買うようにするだけで胃もたれの原因となりやすい油脂を避けることができます。

忙しい時にルーがあるのは便利ですよね。

市販の物でも小麦と動物性油脂を使っていないものがあるので、ネットでも検索してみることをおすすめします。

 

3.スープカレー・ドライカレーにする

トロリとしたルーがかけられたカレーはどうしてもあまり噛まずに食べてしまう!と言う方は、野菜や肉がゴロゴロ入ったスープカレーにしてはどうでしょう。

具が大きいのでしっかり噛まなけばなりません。噛めば満腹中枢が働くので食べ過ぎを防げます。

または、ドライカレーやひき肉を使ったキーマカレーの水分をなるべく少なく作ります。

水分が少ないので飲むようには食べられず、しっかり噛むことになりますね。

 

キーマカレー

 

このように日本の夏の特徴から予測できる不調の原因になることを排除すれば、カレー自体はスパイスの効能で健康的に食べられるものです。

特に、スパイスの香りは「気」を巡らせるため食欲が増し、夏バテ予防の食事になります。

でも、やはり市販のカレールーのカレーがが食べたい時もあるでしょう。

 

最後に、市販のカレールーを使ったカレーでも使う食材に工夫をすれば、健康に悪いこともプラマイゼロになる方法をご紹介します。

 

健康に悪いかも?のカレーをプラマイゼロにする食べ方

激辛はプラマイゼロにすることはできないので、辛さは甘口から中辛にしてください。

カレーをかけるご飯を、とうもろこしのひげ入りとうもろこしご飯、昆布を入れて炊いたご飯、はと麦入りご飯、豆ごはんなどにします。

 

枝豆入りカレー

 

一緒に炊き込む食材は、消化器系の「脾」が弱ることで体に溜まりやすい要らない水分を排泄させる効能があるものです。

とうもろこしのひげは利尿効果が高く、実には「脾」の働きを高める作用があります。

昆布には脂で粘度を増す不要な水分をサラサラにして尿として排泄させる効能があります。

「脾」の働きを直接高める効能は無いので、カレーに入れる具で補います。

この場合は具に、かぼちゃや豆類などを加えると脾の働きを高めます。

はと麦も、不要な水分を排泄させ「脾」の機能を高めます。

 

次に、もしサラダを添えるなら、サラダにはクレソンやチシャ(サンチュ)、わかめ、緑豆もやしを入れます。

 

サンチュ

クレソンやチシャ(サンチュ)は牛脂や豚脂でドロドロになりやすい血(けつ)をサラサラにさせる効能があるからです。

クレソンが食べられるシーンはステーキの付け合わせ。チシャ(サンチュ)は焼肉ではないでしょうか?

これはそれぞれステーキの脂、カルビなどの焼肉の脂でドロドロになる血(けつ)をサラサラにする薬膳なのです。

わかめは昆布同様、「脾」の弱りから要らない水分が溜まりやすくなるため、排泄させる目的です。

緑豆もやしは、緑豆の体にこもった熱を冷まし要らない水分を排泄させます。

 

ステーキとクレソン

 

まとめ

カレーは薬膳だから、体に良いと思って食べていると、予想外に健康に悪い場合があることを中医学と薬膳の視点から解説しました。

湿気が多く暑い日本の夏に起こりやすい不調の予防ができてこそ、本来薬膳と言える料理です。

 

消化器系に当たる「脾」が弱れば、どんなに栄養のあるものを食べても、それが吸収されず栄養として取り入れられないばかりか、消化に「気」というパワーを使っているので、マイナスになってしまいます。

そのため、「脾」の負担にならないようにすることは大切ですが、同時に湿気で溜まりやすい不要な水分を排泄させる食事も意識しましょう。

 

薬膳カレーを作る時、スパイス以外に気をつけること

 

 

 

 

体質的に食べない方が良いものを、たまに食べてもなかったことにできる薬膳の知恵が学べる無料メール講座配信中

 

お知らせ プロ向け 活動報告

2024/4/29

【活動報告】第3期薬膳ヘルスビューティケアアドバイザー講座(アドバンス)全12回終了

偶然にも横浜で活動されるお二人が受講された『薬膳ヘルスビューティーケアアドバイザー認定講座(アドバンス全12回)』が終了しました。     『薬膳ヘルスビューティケアアドバイザー認定講座』はベーシック全7回とアドバンス全12回(事例検討会12回を含む)より構成されていて、それぞれのコースが終了された後、認定テストに合格されると、『薬膳ヘルスビューティケアアドバイザー』と『薬膳ヘルスビューティケアアマスターアドバイザー』に認定させていただきます。   この講座を受講されるのは、 ...

ReadMore

お知らせ 活動報告

2024/4/28

特別勉強会 3回目の「日本の食と日本人の健康を考えてみよう会」開講しました

2024年2月から月に一度のペースで外部講師をお招きして行っている『日本の食と日本人の健康を考えてみよう会』も4月22日(月)に3回目を迎えました。     3回目は農薬とは?から、遺伝子組み換えのメリットとリスク、ゲノム編集のメリットとデメリット、食品添加物と広範囲に渡りました。 農薬についてだけでもこれだけあります。  ・農薬の分類 ・農薬の使用目的 ・農薬の剤型 ・日本での農薬の現状と世界との比較 ・WHOで発がん性と示した農薬   体を作る食材の事を知らなければ選ぶ基 ...

ReadMore

お知らせ 中医学 活動報告 薬膳

2024/4/28

【活動報告】対面にて最短で基礎が学べる「きちんとわかる薬膳の基礎(全五回)」を開講しました

  2024年4月20日、21日の2日間で『きちんとわかる薬膳の基礎(全五回)』を対面にて開講しました。 4名の方が受講され、二日間で薬膳を始めるための中医学の基礎から食材の選び方、食材事典の読み方を学ばれました。 過去に、独学で学ばれたことがある方や単発で何度か他の方から学ばれたことがある方もいらっしゃいました。 日本人になじみがあるのは明治以降にオランダやドイツから入って来た西洋医学の考え方で、東洋医学の陰陽のバランスの取り方などの概念はあまり浸透していません。 そのため、これを本で学んだり ...

ReadMore

お知らせ 受講後の感想 活動報告

2024/4/22

【活動報告】怪しくない!面白い!東洋医学を実践するための気の話を開講しました

2024年4月24日(水)に二回目となる『怪しくない!面白い!東洋医学を実践するための気の話』を開講しました。     薬膳の基になる中医学では体の構成要素を「気・血・津液」の3つだと言います。   その中の「気」は元気、やる気、勇気など普段使っている言葉でも何となくは感じるもののハッキリとわかりにくいと誰もが思うものです。   そこで「気」にフォーカスして「気」とは一体どんなものなのか?をお伝えする講座となりました。   中国では日本の縄文時代以前から「 ...

ReadMore

お知らせ 活動報告

2024/3/24

【活動報告】朝日カルチャーセンタ―様にて『薬膳DE骨粗鬆症予防』を開講しました

2024年3月23日(土)13:00~14:30に朝日カルチャーセンターくずは教室様にて『薬膳DE骨粗鬆症予防』を開催しました。     女性は閉経後「骨粗鬆症」になりやすいことは、現代ではよく知られていることです。   閉経により女性ホルモンのエストロゲンの活性化は閉経前の1/10程度に下がると言われ、閉経前にあったエストロゲンによる脳、肝臓、腎臓、皮膚等への良い影響が減少することで更年期以降の様々な変化が見られます。   エストロゲンからの良い影響がなくなること ...

ReadMore

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

森澤孝美

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

-ブログ, メニュー
-, , , ,

© 2024 モーリー薬膳ラボ 簡単エイジングケア薬膳講師 森澤孝美 なかったことにする薬膳