数年前から「秋バテ」という言葉を聞くようになりました。
猛暑が終わり朝晩少しずつ涼しくなっている時期なのに、なんだかだるかったり、寝ても疲れが取れない、睡眠が浅い、お腹の調子が悪い、食欲がない、やる気が出ない・・・
こんな状態なら、夏の疲れが溜まっている「秋バテ」かもしれませんね。
ここでは、夏の終わりから秋の初めのうちに秋バテ予防を早めに対策する方法として、おすすめフルーツを薬膳の視点からご紹介します。
なぜ沢山ある食材の中でフルーツなのかと言うと、フルーツの多くはまず熱を加えたジャムやコンポートなどでは無く、フルーツそのものを生で食べる機会が多いからです。
そして、フルーツは冷やすものが多い中、まだ暑さの残る夏の終わりから秋の初めの時期は、体を冷やすことも時には必要だからです。
目次
秋バテ対策!季節の変わり目不調の秘密:フルーツの力とは?
「秋バテ」の原因として考えられるのは、
✅夏の暑さの疲れ
✅気候の変化に対して体が順応ができない
✅夏の間の冷たいものの摂りすぎ
✅1日の寒暖差が激しい
等が考えられます。
このような不調に対しておすすめのフルーツがあります。
その前に、薬膳の考え方からフルーツをおすすめする理由をお伝えしますね。
薬膳ではどんな食材にもそれを食べると体が温まる・体にこもった熱を冷ます・そのどちらでもないという三種類の性質があるとされています。
もっと細かく言えば体が温まるものを熱性・温性の二つに分け強く温められるのが熱性、次が温性となります。
体にこもる熱を冷ますものは涼性・寒性で強く冷やすのが寒性で次が涼性となります。
どちらでもないフラットなものが平性で、これを合わせて五性といい温める力が強いものから順に熱・温・平・涼・寒です。
この五性とは別に、それぞれの食材には効能があり、栄養学で言われる食品成分の炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル等とは別に薬膳独特の分類法があります。
詳しく調べると、栄養学で言われている食品成分を含む食材の効能は中医学でも同じ効能になっていることに気づきます。
「成分」という概念がなかった数千年前から知られている分類なのでこれには驚かされますが。
ここで、最初に述べた「生で食べる」ことが重要になって来ます。
それは、生で食べた時、その食材の持つ性質や効能がダイレクトに体に影響するからです。
熱を加えて調理すると、性質が変わったり効能が変わる食材も存在します。
味や食感等の点から生で食べられる食材の種類はフルーツに勝るものはありません。
薬膳初心者の方でも、季節の変わり目の不調に対して手軽に薬膳の知識を使うことができる点がフルーツの力です。
季節の変わり目と体調不良:フルーツが提供する救済策
それぞれの不調別でおすすめのフルーツをご紹介して行きますね。
すばやくエネルギーチャージ
食欲がないとか、夏風邪などが治ったばかりで早く元気をつけたい等には、すばやくエネルギーチャージできるぶどうがおすすめです。
ぶどうには吸収の早い糖分が豊富です。
なんだか疲れを感じる時にすぐに食べられて吸収されやすいぶどうは他にも効能があります。
薬膳では、体の構成要素の気と血(けつ)を補い喉の渇きを潤わせ、むくみ対策やエイジングケア、骨や筋肉を強くする効能を持つ食材がぶどう。
ぶどうの五性は平性なので冷え性の人やエアコンの効いた室内にいる時間の長い人も体を冷やさずに食べることができる点もおすすめポイントです。
特に巨峰やピオーネなど皮の色が濃い紫の物は抗酸化力も高いとされています。
できれば、冷蔵庫から出して直ぐではなく少し常温に戻してから食べるようにしましょう。
疲れている時や病気が治ったばかりの時は、胃腸機能も弱り気味です。
冷やす性質のないぶどうですが冷たくして食べてはせっかくの性質が無駄になってしまいます。
常温で食べることでよりすばやくエネルギーチャージができると考えましょう。
「心」の熱を冷ます苦味のあるもの
なかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めてしまう人は汗で失った体の潤い成分がまだまだ補えていないのかもしれません。
そんな時には、グレープフルーツの苦味がおすすめです。
中医学で考える時、水の要素を持つのは五臓の「腎」で潤いがあれば火の要素である「心」が亢進し過ぎるのを抑えることができます。
「心」が亢進し過ぎると夜寝つきが悪くなり、良い睡眠が取れなくなります。
身体にこもった熱を強く冷まし胃もたれや悪酔いの予防にもなるのがグレープフルーツ。
五臓の「心」の熱を冷まします。
実が赤いルビー種には抗酸化作用のリコピンも豊富です。
苦み成分には血栓を溶かす効果があると言われます。
更年期世代以降はルビー種がおすすめですね。
乾燥には潤い補給できるもの
屋外は湿度が高くても、エアコンの効いた室内で過ごすことで喉の乾燥やカラ咳が出ているなら、少し体のバリア機能が弱っている証拠。
五臓の「肺」がバリアを担当するので、早めに「肺」の底上げを始めましょう。
「肺」は乾燥が苦手です。(そのため秋になり乾燥し始めるとバリア機能の弱りから風邪をひきやすくなります。)
乾燥が苦手な「肺」を潤わせルフルーツは梨といちじく。
梨は涼性なので胃腸が弱っている時や冷え性の人は食べる時間や量に注意が必要です。
日中気温が高い初秋は、汗で失った潤いを補い体にこもる熱を冷ます梨はその性質と効能が十分に活かせます。
発熱時や喉が痛くて食べ物があまり食べられない時は梨をすりおろして食べるのがおすすめです。
いちじくは、体を温めも冷やしもしない平性です。カラ咳や消化不良、便秘、下痢などにもおすすめです。
喉の乾燥の他に、消化器系の不調があったら梨よりいちじくを選びましょう。
いちじくは多くの消化酵素を持つので、デザートとしてもおすすめです。
秋の体調不良から守る方法:フルーツの役割を探す
ここまで、夏の終わりから秋の初めに手に入れやすいフルーツで秋バテ対策の効能になるものをご紹介して来ました。
これまで食べて来たフルーツにもこのような薬膳の効能があることが分かっていただけたでしょうか?
今の自分に必要なフルーツを選ぶためには、フルーツの役割を探すことが必要でです。
薬膳の考え方は傾いた体のバランスを元に戻すこと。
フラットな状態や中庸(ニュートラル)と考えると分かりやすいかもしれません。
身体に熱がこもっているなら熱を冷ますことでフラットな状態に戻りますし、足りないものがあるなら補えばフラットな状態に戻ります。
秋は、これまでの湿度と暑さから、乾燥と寒さに切り替わって行く変わり目なので気候の変化に体が対応するまではさまざまは不調が現れやすい時です。
気温が下がって寒さを感じるようになったら、涼性や寒性のフルーツを控えるなどで秋の体調不良から体を守りましょう。
季節の変わり目の秘訣:フルーツを取り入れた健康的な食事まとめ
夏から秋へ移行する季節の変わり目は暑い日もあれば涼しい日もあり、湿度が高い日があれば乾燥を感じる日もあります。
薬膳を始めたばかりだと、食材を選んでどのような組み合わせでどんな調理をしたらよいか迷いがちです。
そんな時には、ここでご紹介したそのままのフレッシュ状態で食べられるフルーツを食事や間食に取り入れて、そのフレッシュなフルーツの持つ性質や効能をダイレクトに体調管理に役立ててください。
【関連記事】