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お粥とおじやと雑炊で一番消化に良いもの~薬膳の視点から解説

1月7日の七草粥が終わり、もうお粥は来年まで食べることは無いと思っていませんか?

「お粥は病気の時に食べるもの」

そう思っている人もいるかもしれません。

 

似たようなものに、おじやと雑炊もありますが、この中で一番消化が良いのはお粥です。

 

同じように米が入っていて、普通のご飯より柔らかくて箸では食べにくいところまで同じなのに、なぜお粥が一番消化が良いのでしょうか?

 

 

ここでは、お粥、おじや、雑炊の違いとなぜお粥が一番消化が良いのかを薬膳の視点から解説します。

胃腸の調子を整えたい時にぜひご活用ください。

 

 

お粥とおじやと雑炊の作り方の違いで分かる消化の良さ

まず、作り方から分類してみます。

次に具を入れるのか入れないのかの違い、最後に味付けの違いで比較します。

 

 

生の米から作るのか炊いたご飯から作るのか

【生の米から作る】

生の米(うるち米)に、普通のご飯を炊く時より多めに水を入れて炊いたものがお粥の基本です。

米に対して入れる水の量でご飯に近いものから、柔らかくとろみのある重湯に近いものまでを分類しています。

「全粥(5倍粥)」「七分粥(7倍粥)」「五分粥(10倍粥)」「三分粥(20倍粥)」 と種類があります。

土鍋で炊くと、遠赤外線効果でゆっくりと米に熱が伝わりほどよい粘りで美味しいお粥ができます。

炊飯器にお粥モードがあれば、それに合わせて米と水を入れて炊くこともできます。

米の粒が切れていればより水分を吸って柔らかく炊けるので、土鍋などの蓋つき鍋で、時々かき混ぜながら炊くことで米が細かくなり、より柔らかいものができるのです。

 

 

【炊いたご飯から作る】

おじやと雑炊はすでに炊いてあるご飯を使い、そこに出汁やみそ汁などを加えて煮たものです。

なべ物の最後の締めに、残った出汁にご飯を入れて溶き玉子を混ぜたものはおじやです。

おじやと雑炊の違いは、炊いた米をそのまま使うのがおじやで、炊いた米を一度洗って粘りを取ってから煮るのが雑炊。

出来上がりは、おじやの方がお粥に近いとろみがついた状態に仕上がるのに対し、雑炊はサラサラしていてお茶漬けに近いイメージに仕上がります。

 

お粥でも、炊いた米から作る方法もあります。これを「入れ粥」と言います。

鍋に、炊いた米と多めの水を入れて、時々かき混ぜながらコトコト弱火で炊きます。

米から炊くより短時間で完成しますが、米粒がそのまま残っていると水を吸わせただけなので本来のお粥とは仕上がりが違います。

 

 

具を入れるのか入れないのか

日本人はお粥は、薄い塩味程度で米(うるち米)だけを水で炊くものと思いがちですが、具を入れた芋粥や鶏粥、玉子粥、中華メニューにあるように海鮮粥などもあります。

この時、家庭で作るなら、米から炊く基本のお粥(炊き粥)の作り方ではなく、おじやのように炊いた米を使う(入れ粥)にすると作りやすいです。

奈良県や和歌山県では、ほうじ茶で炊く茶粥があります。

茶粥には具は入れず、梅干しなどと一緒に食べるのが基本です。

 

 

おじやや雑炊は、水ではなく出汁で煮るので、基本的に味がついています。ここには具が入る場合が多いです。

具を入れるか入れないかだけでは、区別しにくいですが、お粥は出汁ではなく水で煮るのが日本では基本。

味は付いていても薄い塩味、入れる具の種類もそれほど多くは無いのが特徴ですね。

 

 

味つけの違い

お粥は味はほぼないか、薄い塩味程度。梅干しや七草などの味と一緒に食べるのが一般的。

おじやは鍋料理やみそ汁の残りに入れることもあるので、味付けは濃い目の事もあります。

雑炊は、おじやに比べ米がサラサラなので、ひとくちずつ食べるより一度に出汁と一緒に食べるため、濃いめの味付けより薄味の方が食べやすいという特徴があります。

 

 

 

お粥が最も消化が良い薬膳的理由

お粥とおじやと雑炊の違いを述べたところで、それぞれの特徴から一番胃腸に負担が無く消化に良いのはお粥です。

雑炊は、出汁で煮てありますが、サラサラとあまり噛まずに食べてしまう可能性があるため、胃腸が弱っている時にはおすすめではありません。

 

おじやとお粥は、米に含まれる水分が多く柔らかいので一見どちらも同じように感じられますが、米が砕かれているのがお粥。

おじやは逆に水分を一緒に摂るため、軟便や下痢気味の時には噛まずに飲むと、消化しにくく負担になる可能性があります。

 

消化器系に当たる五臓の「脾」は湿気(=水分過多)に弱いため、多めの水分と一緒に食事をすると、消化能力が落ちると考えられています。

あまり噛まずに飲み込みやすく、水分と一緒に食べてしまうという視点からはおじやよりはお粥が消化が良いと言えます。

 

また、おじやに入れる具によっては繊維質が多かったり脂肪が多くて消化に時間がかかる場合もあります。

その点でも、具があまり入らないお粥が最も消化が良いと言えるのではないでしょうか。

 

 

胃腸の調整に日頃からお粥を取り入れる

このような理由から、朝起きて食欲がない時や、食べ過ぎ続きで胃腸が疲れていると感じる夕食にお粥を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

米から炊く炊き粥だと時間がかかりますが、炊いたご飯から作る入れ粥なら時間はそれほどかかりません。

 

体調に合わせてお粥の柔らかさを調節するために、ご飯と水の分量の目安をご紹介します。

 

全粥(5倍粥)   ご飯1に対して水2

七分粥(7倍粥)  ご飯1に対して水3

五分粥(10倍粥)  ご飯1に対して水4

三分粥(20倍粥)  ご飯1に対して水8

 

鍋にこの分量でご飯と水を入れたら、時々ご飯を切るようにかき混ぜてください。

吹きこぼれないように、大きめの鍋を使うのがコツです。

 

まとめ

 

病気の時やお正月明けの七草粥には意味があります。

 

胃腸が弱っている時に負担をかけずに体の構成要素である「気血津液」の「気」を摂り入れることができるのがお粥だからです。

 

お粥とおじやや雑炊を比較すると、米の粒が砕かれて消化しやすくなっていて味付けも具も消化に負担しやすいのがお粥。

 

煎りはと麦を入れて水から炊飯器のお粥モードで炊いた全粥にふりかけを添えて

 

健康な時には雑炊やおじやでも、胃腸を休ませたい時は消化の負担が少ないお粥がおすすめです。

 

食べ過ぎ飲み過ぎの時にも一旦休ませてリセットさせる意味でも日頃からお粥を摂り入れてみてください。

 

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「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

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