猛暑日が続き熱中症予防に水分補給は欠かせませんが、薬膳では普通の水の摂取に加えてすいかをを食べると良いと言われます。
その理由は、常温でも体にこもる熱を冷ます寒性であることの他、汗で失った潤いをすばやく補給でき不要な水分は排泄させるため浮腫みの気になる時にもおすすめだからです。
すいかに含まれている栄養素の働きで言われていることなので、栄養学と比較しながら、汗をかいた後に水の他に更年期女性にすいかもおすすめする理由を解説します。
目次
理由1.すいかは汗で乱れた体液バランスを調整するカリウムが豊富
文部科学省の食品成分データベースによると、100gのすいか可食部に含まれるカリウムは120mg。
水分が多く食べるとトイレが近くなる梨の140mg、温州ミカン130mgと比較しても少なくないのが分かります。
カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。一方、不足するとこれらの働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。なお、大量に摂取した場合でも体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています。
(厚生労働省e-ヘルスネットより引用)
ここに書かれている通り、汗をかいて失った水分を補うために、水をがぶがぶ飲んでいるだけだと体液のPHバランスが崩れることが予想できます。
汗をかいた後で、脱力感他の症状が起きる時、薬膳の基になる中医学では「汗と一緒に気が出て行く。」と言い、水を飲むだけでなくすいかなどの瓜類を勧めるのです。
気が減っている状態の「気虚」になると出過ぎては困るものも締めておく気の働きも弱まるため、汗が止まりにくくなることがあります。
更年期女性の中には、若い頃より汗がよく出る、止まらないと言う人も少なくありません。
浮腫みも感じやすくなりがちです。
スナック菓子など塩分の高いものを食べて喉が渇き大量の水分を摂ったことで浮腫みを感じる時には、水よりすいかの方が良さそうですね。
カリウムが豊富なのでナトリウムと結びついて体外に排泄されます。
理由2.すいかには更年期以降に必要な抗酸化成分が豊富
すいかには夏の日差しや汗の影響で失われやすいものを補う成分が豊富です。
まず、水分が豊富であることが着目ポイントです。
体内の水分量は一定に保たれていて一日の水分摂取量と排出量はほぼ同じ。
水を多く飲み過ぎれば排出する量が増えるということ。
汗で体液を失ったらその分補わなければならないのです。
すいかは可食部100g中、90%近くが水分です。
薬膳ではすいかは常温でも冷やす性質(寒性)のため、冷水を飲むよりも胃腸を冷やさず体の熱を冷まし汗で失う水分を補うことができるのです。
水との違いは、栄養素が含まれていること。
日焼けによるシミやそばかすなどからお肌のターンオーバーを促すビタミンC、目などの粘膜を保護するビタミンAが含まれています。
お肌のターンオーバーは若い時には28日と言いますが、徐々にその日数は伸びて行き50代では45日程度とか。
オレンジ色や黄色などの食材に多く含まれているβ-カロテンは人参やかぼちゃなどに多く含まれていますが、すいかにも豊富です。
体内でビタミンに変わり皮膚や粘膜の健康状態を維持する働きがあります。
抗酸化作用が豊富と言えばトマトのリコピンを思い浮かべるかもしれません。強力な抗酸化作用が悪玉コレステロール(LDH)の酸化を抑制して血流を改善するとされていますが
すいか(赤玉)にも含まれていることが分かっています。
理由3.すいかのスーパーアミノ酸が更年期以降の不調を予防する
すいかなどの瓜類には、アミノ酸の一種シトルリンという成分が豊富に含まれていることが言われています。
シトルリンは一酸化炭素を生み出す働きがありこれが着目されるポイントなのです。
一酸化炭素は血管を拡張するため、血流改善や動脈硬化の予防になると言われています。
これは、汗をかき体液が失われることで、血液濃度が濃くなり流れが悪くなった「瘀血」の改善と言うこと。
更年期以降は、女性ホルモンの減少により高血圧気味になる人がいます。
加齢により血管の弾力性が損なわれることも高血圧の原因ですが、汗によりドロドロ血になった場合も血圧上昇の原因となります。
老化により血管年齢が上がり血圧が上がって、血管壁を傷つけます。
この連続が動脈硬化を生むと考えられているため、閉経前後で女性ホルモンの減少により高血圧傾向になっている場合は、水分補給の一つとしてすいかを取り入れても良いのではないでしょうか。
また、血管が広がり血流が上がれば、スポーツ時には筋肉への栄養がスムーズに行き渡るためパフォーマンスをキープしやすくなりますし、疲労改善にもつながると考えられます。
元気にスポーツをされる更年期以降の方にも、夏のスポーツ時には、すいかを一口サイズにカットして合間に食べるのが理にかなっています。
3-1. シトルリンは美容にも期待できないか?
シトルリンが血管を拡張し、血流改善が期待できるのであれば、お肌への血流量もアップすると考えられます。
血流量が上がれば、お肌の潤いや顔色やツヤなどにも影響が出てくるので夏のすいかは美容への効果も期待できます。
日焼けの後のシミソバカスの内側からの予防には、リコピンとビタミンCと共にシトルリンが含まれるすいかが良さそうですよね。
すいかの他にシトルリンが多く含まれる食材
ところで、シトルリンが多く含まれる食材はすいかの他にどんなものがあるでしょうか?
協和発酵バイオの健康成分研究所サイトによると、すいかの他には、メロン、、クコの実、きゅうり、ゴーヤなどに多く含まれるとのこと。
その中でも、現実的に考えて頻繁に食べられるもの、美味しく食べられるもの、時には果汁を飲むこともできるとしたらやはりすいかではないでしょうか?
まとめ
更年期世代以降の人が汗をかいた後の水分補給として、水の他にすいかをおすすめする理由は、薬膳で言われている体の熱を冷ます寒性であること、必要な水分を補って口の渇きを
癒すことがまず挙げられます。
要らない水分を排泄させ浮腫みの改善にもなることは、栄養学的にはカリウム他の栄養成分が豊富に含まれているためです。
それ以外にも、スーパーアミノ酸と言われるシトルリンの働きに着目するからです。
薬膳で言われている効能以外にも、シトルリンは血管にもアプローチするので暑さで高血圧になったり動脈硬化になることの予防にもなりそうです。
また、シトルリンにより血流量がアップすれば日焼けによりシミやそばかすなどのターンオーバーにも効果を期待したいですね。
このように、単に水分補給の一つとしてだけでなく水には無い栄養成分を含むことから、更年期世代以降の女性にはすいかをおすすめします。
すいかが無い時は、クコの実やきゅうりでもシトルリンを摂ることができますが、体の熱を冷ますのはきゅうりではできてもクコの実ではできません。
クコの実は体に潤いをもたらす効能があるので、体を冷やす性質のトマトなどと合わせて使うことですいかと同様の効果が期待できます。
すいかは体を強く冷やし水分も多いので、冷え性の人や胃腸の弱い人の食べ過ぎには気をつけましょう。
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