このところ、いろいろなところで「ボーンブロス」という言葉を聞く機会が多くなっています。
ボーンブロスとは、ボーン=骨、ブロス=出汁が組み合わさった言葉で、骨から摂る出汁の事です。
主に、牛や豚、鶏の骨を野菜などと一緒にコトコト煮込みアクを取った後、濾して透明なスープをスープストックとして保存するもの。
ネットのいくつかには、医師も勧めるボーンブロスとして腸粘膜の炎症を回復させあらゆる病気の改善に効果がある新たなスーパーフード!
海外セレブも愛飲!と紹介されています。
これは、言葉や表現の違いはあっても中医学を基にした薬膳で言われているエイジングケアのための骨付き肉の効果と同じなんですね。
エイジングケアに良いと言われる骨付き肉は、なぜ人の老化スピードを遅くすると考えられるのか?
その考え方が、ボーンブロスがスーパーフードだと言われる理由とぴったり一致することをお話しします。
目次
ボーンブロスがなぜエイジングケアに良いのか
薬膳の基になる中医学では、老化は五臓の腎の衰えだと考えられています。
腎には「腎精」という生まれてからその人が持っている生命力の源のような物があると言われていて、腎精から骨を作る骨髄や、脳髄、そして骨髄からは血液、歯などの他に、生殖関係なども関わるとされます。
腎が弱ると、骨が弱くなり、足腰の衰えや歯の衰えに繋がりますし、記憶力の低下や認知症なども起こりやすくなります。
血液の余りが髪とされ「血余(けつよ)」と言いますが、腎精が老化と共に減少し髪まで栄養が行き渡らなくなると抜け毛や白髪になると考えます。
また、薬膳には「同物同治(どうぶつどうち)」の考え方があり、体のある部位を良くしたかったらその部位を食べるというものがあります。
骨髄を骨や歯、血液、髪の原料だと考えるのでスープとして煮出すボーンブロスからは骨の髄が摂れると考えるのです。
なので、エイジングケア薬膳では、エイジング(老化)と関わりのある腎の補強に骨付き肉がよく使われます。
ボーンブロスは漢方薬を煎じるという考え方と共通する
もともと漢方薬は数種の薬草(天然生薬)を煎じて服用します。今は生薬を煎じて濃縮し水分を除いた粉末を飲むことが多くなりました。
〇〇の何番とメーカー名と番号でその漢方薬がわかる人は、かなり漢方薬に詳しいはずです。
そんな漢方薬の煎じるという方法を、今も薬膳の本場では大切にしています。
煎じるとは煮出すということなので、エキスを抽出するということになります。
つまりスープです!
薬膳はスープが命と言ってもいいくらい、中国や香港、中国の薬膳が朝鮮半島に渡り今も残る韓国では各家庭にはスープがあります。
出産後の妊婦さんにはこのスープとか風邪のひき始めにはこのスープと。韓国料理のサムゲタンだって滋養のためのスープです。
骨付き肉をコトコト煮ると骨のコラーゲンやアミノ酸、コンドロイチンなどアラフィフ世代に不足してくる栄養が抽出できるのです。
骨を柔らかくして身離れを良くするためにお酢を入れるのも同じです。
骨を柔らかくするために梅干しやお酢を入れる料理は、イワシの梅干し煮などでもすることですよね。
この時点でボーンブロスが良いと言われていることと骨付き肉を煮出してスープでいただくという薬膳の考え方が共通だと分かっていただけたかと思います。
ボーンブロスはたんぱく質が消化しやすい形になっているため腸に負担がかからず、カルシウムやコラーゲンが豊富
現代栄養学で言うと私たちの腸は、食の欧米化によって油脂や砂糖を大量に摂るようになり、それが消化の負担となっていると言われます。
小麦のグルテンや乳製品のカゼインに不耐症の方もよく聞きます。これらは消化しにくいたんぱく質で腸に炎症を起こしやすいのです。
それに加えて農薬や添加物の多い食事を続けていると腸内のバランスが崩れて、様々な現代病が発症するとも言われます。
ボーンブロスはたんぱく質が消化しやすいアミノ酸になっているため、腸に負担がかかりにくく荒れた粘膜の修復ができるということなのです。
腸が元気であれば、栄養の吸収もスムーズです。ボーンブロスは骨から溶け出すカルシウムやコラーゲンなどが豊富なのでしっかり吸収できるようになれば、更年期世代が衰えてくる骨やお肌の再生にも効果が出ると考えられます。
実際にはコラーゲンを食べたからと言ってそのままお肌に届くわけではないと言われますが、2日続けて鶏手羽の黒酢煮を食べた後は、お肌のツヤと張り感が違うのを感じます。
一度にたくさん食べては胃腸の負担になってしまいます。だから、中国の名医のように毎日少しずつ骨付き肉、または骨付き肉からのエキスが抽出されたスープを飲む。
これは、お肌や骨を衰えさせないコツコツ積み重ねる積立貯金だと感じます。骨だけに(笑)
ボーンブロスと同じ効果が期待できる鶏手羽の黒酢煮の煮こごりの使い方
ボーンブロスの場合は、スープをメインに考えるので煮出した後の、野菜や骨は食べなくても良いのです。出汁殻なので味もあまりしませんし。
香港でいただいた薬膳スープは、スープと一緒に出し殻を細かく切って見せてくれました。
そして、特性ダレをつけて食べられるようになっています。
家庭でこれをしてももちろん良いのですが、それが面倒なら鶏手羽の黒酢煮などを作った後の煮汁(冷めたら煮こごりです)を使って炊き込みご飯をしたり
野菜を煮たら同じです。
炊き込みご飯はコラーゲンやカルシウムが入ったものとなりますし、煮物もその食材の特性にプラスしてさらに更年期世代が不足しがちな「腎精」をチャージできるものとなります。
まとめ
流行りのボーンブロスが新たなスーパーフードと言われるのは、薬膳でいうエイジングケアフードだからです。
ボーンブロスに含まれるアミノ酸は腸に負担をかけず、更年期世代が不足しがちなカルシウムやコラーゲンを吸収しやすくします。
更年期以降の女性は女性ホルモンの減少により骨粗しょう症になりやすく、お肌のたるみやシワの原因も年齢と共に頭蓋骨が縮小することが原因だとわかって来ました。
中医学で言われるエイジングを遅らせるためには「腎精」をチャージすることが必要ですが「腎精」が減少することにより「腎精」を原料とする骨や脳が衰えると考えられています。
そのため、直接溶け出した骨髄を摂ることのできるボーンブロスは、薬膳の考え方からもおススメなのです。
もし、骨付き肉をスープにせず煮込みにした場合は、煮汁を捨てずに他の料理に使えばボーンブロスを飲むことと同様のことになります。
ボーンブロスは多めに作って冷凍しておくことが可能です。黒酢煮のだし汁も冷蔵庫で数日、冷凍で3週間~1か月は保存できます。作った後のだし汁も捨てずに利用してみてください。
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【参考サイト】
2021年5月に81歳で逝去された寄生虫学者で腸博士の藤田紘一郎医師も勧められていたボーンブロスです。
腸博士・藤田紘一郎先生のたいせつな話