ブログ

生姜の効果と薬膳の視点から見た使い方

2021年5月3日

 

生姜の効果的な摂り方

 

数年前にショウガブームがありました。

 

おろしショウガのマイチューブを持ち歩き、外食してもお茶を飲んでもチューブのおろしショウガを加えて食べたり飲んだりする人がいました。

 

薬膳では、ショウガは生の状態で使うのか、蒸して乾燥させたものを使うのかでは効能が違うことから、目的に合わせた生姜の効果的な摂り方をお伝えします。

 

 

生姜で効果的に中まで温めたいのか、表面の寒気を飛ばしたいのかで摂り方を変える

 

薬膳では生のショウガを生姜(しょうきょう)と呼び、蒸して乾燥させたショウガを乾姜(かんきょう)と呼んで区別します。

 

※ここでは以降、漢字で生姜と書いた場合はしょうきょうを表し、ショウガ全般と分けて記載します。

 

生姜も乾姜も性質は温める性質ですが、熱を加えた乾姜は生姜が温性なのに対し熱性になりさらに強く熱を加える性質になります。

 

両者を効果的に使い分けるには、その効能の違いを知ることが必要です。

 

具体的には、まず体の中まで温めたいのか表面にある寒気を飛ばしたいのかで考えてどちらを選ぶか決めるとよいでしょう。

 

 

生姜は風邪のひき始めに使うのが効果的

 

生のショウガである生姜はどんな効能を持つのか?

 

生姜は表面の寒気を飛ばす、発散させる効能を持つのが特徴です。

 

生姜

 

風邪をひいたかもしれない!という背中がゾクゾクする時に、帰宅したらすぐに葛湯を作り最後におろしショウガを加えて飲むと一気に熱くなり汗をかきます。

これで体の表面にあり、中まで入っていない風邪をすばやく引きはがす、汗と一緒に発散させるという考え方です。

 

その他、皮には水巡りを改善する効能があるとされ皮はやや体を冷やします。

 

なので、真夏のそうめんの薬味として使う場合、冷房の効いた室内で食べるなら皮を剥いてからおろしショウガにして体表の寒気を飛ばし、キャンプや庭で流しそうめんにするなら

皮ごとおろしショウガにすれば皮を剥いてからおろすよりカーっと熱くなるのが少し緩和されます。

生姜の皮つき・皮なしでもその時の体にこもった熱の状態によって使い分けができます。

 

 

生姜は一気に温め、汗と一緒に表面の寒気を飛ばしその後スーッと体が冷えるため風邪のひき始めに使い、おろしショウガを入れた葛湯を飲んだら布団をかけて直ぐに寝ることが

ひき始めの風邪を早く治すコツと言えます。

 

 

乾姜はお腹の中からしっかり温めたい時使うのが効果的

 

ショウガを蒸して乾燥させた乾姜は、生姜より強く温める性質を持ち、お腹の内側から温める働きがあります。

 

お腹が冷えて痛む時、冷えて吐き気や下痢の時、生姜よりも効果を発揮します。

 

その代わり、生姜のように一気に熱くして汗をかき表面の寒気を飛ばす、発散させる効能はやわらぎお腹の中からじわじわとしっかり温める効果があります。

 

胃腸が冷えて不調の時は、乾姜を使う方が効果的です。

 

 

昔からの食の知恵で使われる生姜の効果的な使い方

 

その他、ショウガには解毒作用があるとされます。

 

これを利用したものが刺身の薬味に使う方法です。

 

鰹やアジなどの青背の魚は傷みやすいので、青魚の薬味にはよくおろしショウガが使われます。

これはショウガの持つジンゲロールという成分の働きによります。

 

ジンゲロールは殺菌作用や、魚の臭み取り、食中毒予防になります。

 

ジメジメとした梅雨から日本の夏は、湿気により胃腸が弱りやすい季節です。

日本人のお腹を温めて浮腫み改善と食中毒予防にもなるショウガは昔からよく使われて来た食材と言えますね。

 

 

乾姜がなかった時は生のショウガを調理して使うと乾姜の効果が期待できる

 

生姜と乾姜の違いと使い分けがわかったところで、わざわざ生のショウガを蒸して乾燥させるのは少し手間です。

 

市販の乾姜を買うのも一つですし、蒸し生姜パウダーも販売されています。

 

蒸しショウガ

 

でも、スーパーで売られているショウガでも乾姜と同じような効能を得ることができます。

 

それは、普段の料理の時にショウガを調理すればよいのです。

 

アサリの酒蒸しの時にショウガを入れる。

同様にアサリご飯にショウガの千切りを入れる。

これはアサリの冷やす性質を緩和させる「なかったことにする薬膳」の手法の一つです。

 

「なかったことにする薬膳」は必要な食材の効能は利用したいが、自分に不要な性質や効能を他の食材との組み合わせで緩和させ「なかったことにする」メソッドです。

 

中華料理の最初に、ねぎ、ショウガ、にんにくを炒めます。

肉の臭みを消すためですが、これでも生のショウガを炒めることで乾姜の効能を得ることができると言えます。

 

 

みそ汁やスープに使う時も目的に合わせてショウガを効果的に使う

 

今までお伝えしてきたように、生姜が必要なのか乾姜が必要なのかによって、味噌汁やスープに使うショウガも生なのか熱を加えるのかを変えると良いですね。

 

風邪のひき始め、罹ったかな?の時は出来上がったスープやみそ汁におろしショウガや生の針ショウガをトッピング。

 

寒い場所に長時間居て体の芯から冷えてしまった、冷たいものの食べ過ぎ飲み過ぎでお腹が冷えて調子が悪い時は、スープやみそ汁の具と一緒にショウガを煮込んでしまう。

 

この使い方の違いでショウガをその時必要な目的に合わせて効果的に使うことができます。

 

 

チューブのおろしショウガは生姜と同じ効果があるのか?

 

おろしショウガにするのが面倒な時、便利なのはチューブのおろしショウガですね?

 

でも、原材料を見たことがありますか?

 

おろしショウガだけが欲しいのに、実にいろいろなものが入っているのに気づきます。

 

できればその都度、生のショウガをおろして使って欲しいですが、どうしても面倒な時は無添加のおろしショウガを使ってください。

 

楽天ROOMでもご紹介しています。

 

または、おろしショウガを小分けして冷凍しておくと便利です。

 

 

 

 

 

ショウガの食べ過ぎに注意が必要な人

 

ショウガが良いからと言って、ブームの時のように常に摂り続けるのは考えものです。

 

特に、体に必要な潤い成分「気血津液」の津液不足の人、血不足の人が生姜を食べ過ぎるとさらに潤い水分不足になり体に不要な熱がこもってしまいます。

それにより、更年期世代以降はホットフラッシュや頭部の火照りなどに繋がる可能性があるので、必要な時にほどほどに摂るようにしてください。

 

同様に、皮膚にできものができて熱感がある時も気をつけてください。

 

 

まとめ

 

薬膳の視点から見たショウガの効果的な摂り方は、その時の体調に合わせて生で摂るか熱を加えたものを摂るかを決めることが大切です。

 

表面の寒気を飛ばしたい時、風邪のひき始めの時は生の生姜をおろしショウガなどで。

 

お腹の中からじわじわとしっかり温めたい時は蒸して乾燥させた乾姜を使います。

 

乾姜が手に入りにくい時は、スーパーで購入したショウガを調理して使うと乾姜と同様な効果が得られます。

 

チューブのおろしショウガには添加物も多く、同量のおろしショウガよりショウガ自体の量が少ないのでできるだけその都度おろして使うのがおすすめです。

それでも面倒な時は、無添加のおろしショウガチューブを使うようにしてみてください。

 

冬以外の季節でも効果的にショウガを使って健康管理の一環にして行きましょう。

 

【関連動画】

チューブのショウガの知られていない効果!正しく生姜を食べる!!

 

チューブの生姜を味噌汁に入れたら温まる?

 

【関連記事】

大根の生で食べる時と調理した時の違い

 

【参考サイト】

グルメノート

 

体質的に食べない方が良いものを、たまに食べてもなかったことにできる薬膳の知恵が学べる無料メール講座配信中

 

ブログ 時事 薬膳

2025/5/23

【2025年夏の大阪万博】薬膳の専門家が選ぶ!40代~50代向け夏バテ対策&疲れを残さない持ち物リスト

2025年4月13日(日)から10月13日(月)までの期間に開催中の大阪・関西万博。 開催地の大阪では、5月20日にはすでに真夏日を記録しています。 前年の2024年には10月下旬まで夏の暑さが残っていたことを振り返ると、この万博期間はほぼ夏の開催となります。 会場の海の上に浮かぶ人工島「夢洲」 期間中は、多くの来場者が予想される一方で、猛暑や混雑による疲れや体調不良が気になるという方も多いのではないでしょうか? 特に40代〜50代の女性は、更年期の不調や体力の落ち込みを感じやすい時期。 暑さや人混みによ ...

ReadMore

ブログ 時事 薬膳

2025/5/10

お米が高い時の”かさましごはん”で体を考えた食材選び

お米の値上がりに負けない!薬膳の知恵で「米のかさまし食材」を上手に使い、栄養たっぷりの健康ごはんに。 体にやさしい簡単レシピも紹介。 目次1 米が高い今、食卓の見直しがチャンスに2 昔の知恵に学ぶ、かさましごはんの工夫3 米の栄養をどう補う?薬膳の視点から考える4 少ない米をサポートする、おすすめのかさまし食材5 すぐに作れる!かさまし薬膳ごはんレシピ6 米高騰でも健康に食べるための知恵が薬膳にある 米が高い今、食卓の見直しがチャンスに お米の価格がどんどん上がり、家計を圧迫するようになってきました。 日 ...

ReadMore

お知らせ

2025/4/27

2025年ゴールデンウィーク営業日のお知らせ

  いつもお世話になっております。 モーリー薬膳ラボ代表の森澤孝美です。 2025年ゴールデンウイークは基本的にカレンダー通り営業いたしますが、下記日程のみ通常と営業日が異なりますのでご了承ください。   ■ 4月29日(火)昭和の日 営業  ■ 4月30日(水)休業   上記以外は、通常通り営業しておりますので、カウンセリング、お問合せなどには随時お答えいたします。   何卒よろしくお願い申し上げます。   恒例となっております、毎週日曜日夜9時からのN ...

ReadMore

お知らせ プロ向け 活動報告

2025/3/12

3月より薬膳ウーマンライフケアアドバイザー認定講座(女性の年代別着目ポイント徹底スタディ)開講中

3月4日(火)より四期目となった、モーリー薬膳ラボ「薬膳ウーマンライフケアアドバイザー認定講座(女性の年代別特徴と着目ポイント徹底スタディ講座)(全五回+認定テスト)が開講中です。 講座の内容はこちらからご覧ください。 今期は、小学生のお子さんのお母さんで小学校から大学まで「命の授業」「次の世代に命のバトンを繋げるための自分の健康」講演活動をされている丁度更年期世代の方のマンツーマンです。 ご自身の経験や、関わって来られたこれから結婚し母になる可能性のある20代女性の現状などの話には私も学ばせていただいて ...

ReadMore

お知らせ 活動報告

2025/3/8

女性にありがちなケーススタディ薬膳講座を開講しました。

去る2月22日(土)より一般の方向け上級コース『女性にありがちな不調ケーススタディ薬膳講座』をオンラインにて開講しました。   この講座では、一般的に女性に多くみられる不調を中医学の視点から読み解き、その予防や解決するための食の選び方へと繋げていきます。 最近は平日にお仕事をされている方のご受講が多くなり、連続講座も土曜日の開講となりました。 一回目は時節柄「花粉症対策と薬膳」で、花粉症と関わる五臓の弱りと、各五臓の連携による症状の出方と花粉症を和らげるための年間を通して気をつけること、花粉症の ...

ReadMore

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

森澤孝美

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

-ブログ
-, ,

© 2025 モーリー薬膳ラボ 簡単エイジングケア薬膳講師 森澤孝美 なかったことにする薬膳