薬膳を勉強していると話したら、「旬の食材を食べていればいいのよね?」と言われて、どう説明すればいいのかとご相談をいただきました。
旬の食材には、その時期に必要な効果を持つものが多いので、確かに全然違うということにはなりません。
けど、本当の薬膳はただ、季節の食べ物を食べていればよいということにはならないのです。
目次
薬膳は旬の季節料理のことではない
分かりやすい所で、夏が旬の野菜や果物を見てみましょう。
きゅうり、トマト、なす、ゴーヤ、すいか、メロンなど、誰もが夏が旬だと分かる野菜や果物です。
これらは、全て体にこもった熱を冷まし、汗で失った体液を補充する効果があります。
キンキンに冷えた飲み物を飲まなくても、こんな野菜や果物が常温でも体の熱を取り潤いを補給するので、夏の薬膳料理によく使われるのです。
また、とうもろこしやかぼちゃなどは、お腹の調子を整えますから、冷たいもので弱りやすい夏におすすめの旬の食材になります。
特に、とうもろこしの髭には、湿気の多い日本の夏に、体に溜まった要らない水分(どぶの水と私は呼びます。)を尿として排泄させる効果もあります。
ここまで読むと、やはり旬の食材はその季節の薬膳になる!と思われるかもしれませんね。
けど、旬だからと言って、気温が低くて体が冷えている時にキュウリや、トマト、すいかを食べたら体はもっと冷えてしまいます。
汗をかき過ぎて、潤い不足になっているのに、旬だからと更に利尿させる食材を食べたら、場合によっては潤い不足から熱中症のようになってしまうかもしれません。
季節の薬膳は季節料理のことではないのです。
それぞれ違う体質や体調に合わせた料理が薬膳
同じ温度設定の部屋にいても、冷えてしまう人もいれば、もっと設定温度を下げたい人もいるでしょう。
寒がりの人、暑がりの人、それぞれ体質が違えば、同じ夏野菜を摂っていても体への影響が違うのです。
また同じ季節、同じ人でも、一日中冷房の効いた部屋に薄着でいる日と日中屋外にいた日では体調も違います。
特に、スカートをはき生足で過ごすことの多い女性は、旬の食材だからと言って夏野菜やフルーツばかり摂っていると冷え性になってしまいますね。
薬膳は本来、それぞれに違う体質や体調に合わせて作る料理のこと。
なので、旬の食材を食べていれば、それが薬膳になるということではないのです。
旬の食べ物が分からなくなっている
農業技術の進歩により、温度管理や湿度管理をすれば、旬の食材でなくても一年を通して農作物が作れるようになって来ました。
食品流通の進歩、農作物の海外からの輸入量の増加などもあり、本来まだ収穫できない時期に季節外れの野菜がスーパーに並んでいます。
トマトやきゅうり、レタスはほぼ一年中買うことができますし・・・
なので、旬だと思って買っている野菜が本来の旬でないこともあり得るのです。
そうなると、体にとって必要なものではない場合があるということになります。
今後、気候変動で旬の食べ物が合わない日が増えるかも
夏の前に梅雨が来て、梅雨明けと共に暑くなり、夏の終わりは台風到来。
台風が一つ過ぎ去るたびに徐々に秋に近づくのがこれまでの季節の移り変わりでした。
ところが近年、梅雨がいつまでも明けなかったり、そろそろ空気が乾燥して来る頃なのに梅雨かと思うほどの長雨が台風でもなく続いたり。
気候の変動が続いています。
すると、本来その時期に一般的に必要な効果のある食べ物が、合わない場合があります。
初秋の暑さのあるカラっとした日は、旬の梨で体の熱を冷ましながら、汗で失った潤いを補給することができるますが、気温が上がらなけば梨を食べると体が冷えてしまうのです。
こんなことからも、旬の食べ物はその時に食べるべき!と決めつけることなく、あくまでもその日の天候や自分の体調に合わせて食材を選べると良いですね。
旬の食べ物がその季節の薬膳になるのではない
まとめると、旬の食材は基本的にその季節の体に必要な効果を持つものが多いことは確かです。
けど、薬膳は季節料理ではなく、天候やその時の人の体調に合わせて食材を選び、作る料理のことです。
そのため、薬膳=旬の食材だけを食べておけばよいとはならないことはおわかりいただけたのではないでしょうか?
仮にも旬の食材を選んで料理を作っていると思っていたとしても、もしかしたら、それは本来の旬では無いかもしれませんし、旬は合っていても気候変動のために、
気温や体調に合わない場合もあります。
大切なのは、自分の体が冷えているのか熱をこもらせているのかをまずは知ることです。
そして、旬の食べ物を中心に選びながら、冷やすのか温めるのか、どちらでもないのかを知っておくことですね。
食材事典がいろいろ出ているので見ておくと良いでしょう。
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