薬膳と漢方の違い 東洋医学の関係

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薬膳と漢方の違いと関係

2021年2月17日

薬膳という言葉が広まる前から、漢方や漢方薬という言葉は聴いた事があると思います。

薬膳と漢方の違いや関係についてお伝えします。

 

発祥は中医学(中国伝統医学)です

 

結論から言うと、漢方も薬膳も発祥は中国伝統医学です。

中国伝統医学を略して一般的には中医学と呼びます。

昨今、欧米でも Ttaditional Cinese Medicine と呼ばれ代替医療として中医学が認められています。

NHKの番組で、米軍が鍼治療を摂り入れていると話題になっていました。

そして、中医学の考え方に基づいて体の不調を食材の性質や効能を使ってバランスを整えるのが薬膳です。

漢方は、和漢方や日本漢方と呼ぶこともありますが、発祥はやはり中医学なのです。

また、中医学のことを東洋医学ということもあります。

広義では東洋医学とは、東洋で生まれた伝統医学を指し、伝統医学には中国で生まれた中医学、インドのアーユルヴェーダ、イスラム圏のユナニ医学、チベットのチベット医学があり、これを四大伝統医学、チベット医学を除いた3つが三大伝統医学と呼ばれています。

 

 

中医学と漢方の違いは日本の歴史に由来する

発祥が同じなのに「中医学」「漢方」と呼び方が分かれているのはなぜでしょうか?

それは、日本の歴史に由来します。

漢方は、日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて日本独自に進化発展したもので「中医学」と「漢方」は同じではないのです。

もともとは紀元4世紀前後に朝鮮半島渡った中医学が飛鳥時代に日本に入って来ていました。

戦国武将の中にはそれまでの呪術的な医療行為から、中医学に基づく薬物に関しての深い知識を持っていた徳川家康などが有名です。

では、いつから中医学ではなく漢方になって行ったのでしょう。

それは、日本が江戸時代に鎖国をしたことが由来しています。

それまでも中国へ留学して医学を学んだり、中国から医師が渡来して中医学が日本に広まって来ましたが、中医学を模倣して日本国内でも医学書が書かれるようになりました。

江戸時代になると、幕府が諸外国との国交を閉ざしたので、中国も例外ではなく中医学の新しい知識が入らなくなりましたよね?

そこで日本独自に進化発展したのです。

これが漢方で、最も有名な日々の健康的な暮らし方(養生のしかた)を記した貝原益軒の『養生訓』は江戸時代のものです。(現代語訳版が出ています。)

日本に伝わった西洋医学の蘭方(オランダ医学)と区別するために漢方と呼ばれるようになりました。

 

鎖国の終わり

ペリーが来航して日本の鎖国終了となりました

 

 

漢方薬と漢方の違い

 

葛根湯や当帰芍薬散などの漢方薬のことを漢方だと思っている人もいます。

漢方薬は、漢方の考え方や薬学の考え方から天然生薬を配合して作られた「薬」として国に認められたものです。

漢方は、中国伝統医学を基に日本独自に進化発展した医学を指します。

そして、漢方薬は漢方の考え方に基づいて作られた国が認めた「薬」ということです。

国内で認められた漢方薬は、現在294種類ありそのうち148種類が厚生労働省から保険適用に認可されています。

ちなみに、中医学では中薬と呼びます。

 

生薬箪笥

生薬が入った箪笥

 

中薬にはあるのに、漢方薬として日本では認められていないものもあります。

また、日本人の体質に合わせているため生薬の配合分量も違います。

葛根湯は中国のものの方が含まれる生薬量が多いと聞いたことがあります。

日本では、煎じて飲む煎じ薬より、エキス剤が主流です。エキス剤は煎じ薬をフリーズドライしたものでいわばインスタントコーヒーのように、煎じる手間がなく携帯に便利で飲みやすくなっています。

ところが、一人一人に合わせて配合する煎じ薬とは違い、配合割合などを調整することはできないという特徴があります。

どちらを選ぶかは、ご自身の生活や不調の程度などを考えて医師や漢方薬局の薬剤師と相談して決めると良いですね。

 

 

薬膳は漢方薬の処方と考え方は同じ

漢方薬は医師に処方してもらうか薬剤師の元で販売されるものです。

理論と実証に基づいているため、不調を治療することができる「薬」です。

しっかりその人の症状に合えば、効き目は早くなります。

でも、苦いとか飲みにくいという問題もありますよね?

薬膳は、食べ物なので緩やかですが美味しく食べられるものです。

そして、考え方は漢方薬と同じなので、漢方薬の原料の生薬を食べ物に置き換えると言ってもいいのではないでしょうか?

治すのは薬になりますが、小さな傾き(バランスの崩れ)のうちに元の状態に戻せるのは食事です。

薬膳はそんな食事ということですね。

 

サバ缶とアンチョビの菜の花パスタ

目的が決まればイタリアンでも薬膳になります

 

 

まとめ

薬膳も漢方も、基礎となるのは中国伝統医学ですが、漢方は日本独自に進化発展した日本の伝統医学と言えます。

漢方薬は漢方の考え方、理論に基づき天然生薬(植物、動物、鉱物など)が数種類配合された薬で、日本の厚生労働省から認められたものを指します。

薬膳は、中医学の考え方を基に食事で体の傾き(不調)を基に戻すもので、小さな傾きのうちに日々続けられる食生活と言えますね。

生薬には普通に食品として食べられるものもあるので、薬膳と漢方の区別がつきにくくなることがありますが、これで分かっていただけたでしょうか?

 

 

【関連記事】

薬膳とは何か?お店で食べるものなのか?

【参考記事】

漢方の解説(日本漢方生薬製剤協会サイト)

 

 

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森澤孝美

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

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