更年期に酷く不快な症状が出て生活の質が落ちてしまったり仕事に影響が出る場合は、婦人科でホルモン補充療法を受けたり、サプリのエクオールを飲むという方法もあります。
まだ、そこまでではなくイライラしたり憂鬱な気分になりやすい場合は、香りのよいお茶がおすすめです。
秋にはキンモクセイの香りの桂花茶や、ペットボトルで購入することもできるジャスミン茶、バラの香りのバラ茶など、「この香りが好きだなぁ」と感じるものです。
ここではなぜ、香りのよいお茶が、更年期世代のイライラや憂鬱な気分に良いのかを中医学と薬膳の視点から見てみましょう。
目次
なぜ香りのよいお茶がイライラや憂鬱な気持ちに良いのか
呼吸によって鼻から良い香りが体に入ると、それだけで気分がよくなったり、気分転換ができませんか?
イライラや憂鬱な気分は、ストレスが原因の事が少なくありません。
更年期世代の女性は、若い頃との体力の差を感じながらも社会では責任のある立場になり、家庭では子供の受験や親の介護、人によっては夫が単身赴任で、留守家庭を守っているケースもあります。
更年期世代は、閉経間近で女性ホルモンバランスが崩れ、今までなら乗り切れていた緊張感をなかなか乗り切れなくなってしまう世代なのです。
イライラする自分に腹が立ったり責めてしまい、そこから憂鬱な気持ちになる人もいます。
イライラや憂鬱な気持ちの時に使える香りの効果
イライラや憂鬱な気持ちは中医学でいう、「気」の滞り状態の「気滞」。
深呼吸だけでも「気」が巡りますが、良い香りを嗅ぐとさらに巡りがよくなると言われています。
好きだと感じる香りなら、もっと香りを楽しみたいので自然と深呼吸にもなります。
すると、深呼吸と香りの両方の効果で「気滞」解消の可能性が高まるのです。
このように良い香りが「気」を巡らせるので、更年期世代でイライラしたり憂鬱な気分になりがちな人は香りのよいお茶がおすすめなのです。
「気」は他の体の構成要素「血(けつ)」や「津液(しんえき)」の滞りにも影響します。
つまり、「気」の巡りが滞れば「血(けつ)」や「津液(しんえき)」の流れも悪くなり、ドロドロ血や水はけの悪さに繋がってしまいます。
すると、手足の冷えや浮腫み、お肌の黒ずみやシミ、重だるさや回転性のめまいなどの原因となりやすいのです。
長時同じ姿勢で過ごしたり、緊張が続いたりするだけでなく、季節の変わり目の気候の変化などでも「気」の流れは滞りがちに。
そのため、「気」は常に巡らせるように意識しておきます。
手軽に香りを楽しむことができ、知らずに「気」を巡らせられるもの、それが香りのよいお茶なのです。
イライラや憂鬱におすすめのお茶はハーブや花の香りのお茶
ストレスなどのイライラや憂鬱を解消するためのお茶の選び方は、上に述べた理由により、まずは香りのよいものを選び気分のリフレッシュを。
香りと言っても、できれば人工的なものよりハーブや花の香りなど、自然のもので強すぎないもの。
更年期世代は、ホルモンバランスの崩れから自律神経が乱れがちです。
香りの影響を受ける脳の大脳辺縁系は自律神経と密接な関係があるため、香りで気分が悪くなったり動悸や血圧上昇などの可能性もあるからです。
ハーブ類で言えば、ミントティー(薄荷茶)、レモングラスティー、紫蘇茶、よもぎ茶、当帰葉茶など。
花では、ジャスミン、キンモクセイ、バラ、お茶用の菊などのお茶。
その他、柑橘系のフルーツの皮を乾燥させたものを入れたお茶などです。
柑橘系のフルーツの皮には香り成分が含まれているので、これを乾燥させたものを紅茶や緑茶などに混ぜて香りをつけたものもおすすめです。
季節ごとに自然の花を利用したお茶
ジャスミン茶もキンモクセイ茶も、手作りすることができます。
それは、これらのお茶が一般的に緑茶(中国の緑茶)にそれぞれの花の香りを吸収させて作ったものだからです。
菊花茶はお茶専用の菊の花の乾燥したものにお湯を注いで飲みますが、ジャスミン茶やキンモクセイ茶は見た目は緑茶。
緑茶の繊維に花の香りが吸着して香り豊かなお茶になるのです。
春には手作りジャスミン茶
本来、熱帯地方原産のジャスミンは日本の冬には枯れてしまいます。
一般的にジャスミンと呼ばれるものは数種類ありますが、中国でジャスミンティーの香りづけに使われる茉莉花(マツリカ)は寒さに弱く、沖縄以外の日本では鉢植えでの栽培がおすすめとなります。
本格的にジャスミンティーを作るためには、茶葉と同量のマツリカの花が必要ですが、家庭で飲むにはマツリカを一輪入れた急須に緑茶を入れてお湯を注げば即席ジャスミンティーとなります。
寒さに比較的強いジャスミンは、羽衣ジャスミンという品種で耐寒性があるので、育てやすい品種です。
4月から5月頃の早朝に開花するので、花を摘み取り緑茶やウーロン茶に混ぜ密封容器にいれて1週間程茶葉に香りを吸着させます。
本来なら、花を取り出すのですが、自分で飲む分には花も出さずにそのままお湯を注いで飲んでも良いでしょう。
ジャスミンの性質と効能
ジャスミンは、体を温める温性で、気を巡らせる効能があるため、生理痛がある時にもおすすめです。
気分が鬱傾向になったり直ぐにイライラしがちな人はジャスミン茶を飲んでみてください。
スッキリするのを実感するかもしれません。
その他、消化器系の調子を整える効能もあるため、食欲不振や膨満感などにも良いとされています。
膨満感は「気」が滞っているために消化のスピードが落ち、食物が消化されて下へ降りるスピードが遅くなっている状態です。
「気」を巡らせることで、消化を促す効果も期待できます。
かぼちゃなどを食べるとお腹が張ってしまう人は、香りのよいものを一緒に食べるとスッキリしますが、これと同様にジャスミン茶は消化促進に一役買うということですね。
秋には手作り桂花茶
秋になるとどこからともなく香って来るのはキンモクセイです。
この花の香りを茶葉に吸収させたものが桂花茶です。
花が完全に開花する前の香りが強いため、咲き切る前に花を摘みます。
枝や葉が入らないよう、選別し緑茶と共に密封瓶などに入れて茶葉に香りを移します。
キンモクセイも花を取り除いて完成しますが、自分用なら花もそのままでお湯を注いで飲んでも良いでしょう。
キンモクセイの性質と効能
キンモクセイの性質も体を温める性質です。
消化器系を温めて、冷えによる痛みの解消にも効果があるとされています。
喉に何かが詰まっている訳でもないのに、咳払いしたくなるヒステリー球(梅核気)を、香りが解消すると言われています。
成分として含まれるα-ツヨンは女性ホルモン様作用があるため、更年期の揺れ動くホルモンバランスを整える一助になるかもしれません。
更年期のイライラや憂鬱感には香りのよいお茶でリラックス
更年期世代は、閉経間近で女性ホルモンが減少していくため、自律神経系のアンバランスから様々な不調が現れる世代です。
中でも、イライラや憂鬱感などは、外からは分かりにくいため理解されにくく、余計に本人が辛い思いをします。
自分でできる簡単な方法として「気」を巡らせるために花やハーブなどを使った香りのよいお茶をおすすめしました。
機会があれば手作りもしてみてくださいね。
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