でんぷんの消化を助ける酵素、ジアスターゼが含まれることから、お餅を食べるなら大根おろしに醤油を混ぜて食べるからみ餅をおすすめしたり、脂っこいものを食べる時や焼き魚に大根おろしをおすすめしています。
これらはいつも生の大根です。
日本では冬になるとおでんに入れたり、ふろふき大根にしたり、味噌汁やお鍋に入れるなど調理して味のしみた美味しい大根を食べる食文化もあります。
生の大根と調理した大根では何が違うのか?どんな時に生?どんな時に加熱?
使い分け方を薬膳の視点からお伝えします。
生の大根の特徴
生の大根には、でんぷんの消化酵素ジアスターゼが含まれます。
ジアスターゼは山芋(長芋)にも含まれています。大根と山芋、この2つの共通点は「生でも食べられる」ということになります。
この生と言うところが重要で、ジアスターゼは熱に弱いのです!そうです、調理したらなくなってしまいます。
生の大根は体をやや冷やす性質を持ち(涼性)、中医学で言う体の構成要素「気血津液」の気の流れを良くしながら下に下ろす働きをします。
つまり、胃もたれや胸やけ消化不良など、胃に熱がある時やお餅などのでんぷんの消化を促すので、お腹をスッキリさせたい時の消化剤としておすすめです。
また、揚げ物を食べる時に胃腸への負担を軽減したり、焦げた焼き魚の発がん性を軽減する働きもあります。
この知識があれば、食べる時に大根おろしを添えたり、大根サラダを一品加えて食べながら体に起こるバランスの崩れをなかったことにする、「なかったことにする薬膳」ができますね。
ところが、生の大根は、体にこもった熱を冷ます性質を持つため、胃腸が虚弱な人やお腹の調子が悪く下し気味の時はおすすめではありません。
辛味大根たっぷりのおろし蕎麦を食べるとお腹を下してしまう人もいます。
それは、蕎麦も体を冷やす性質で下に下ろす働きがあるためなのです。
大根は消化促進だけでなく、痰の多い咳が出る時や喉の痛みがある時にも良い食材です。
大根を賽の目に切り上からひたひたにはちみつを注いで一晩おくと、大根のエキスが上って来ます。
それを白湯や水で薄めて飲む大根飴は昔から喉の痛みや咳止めとして日本に伝わって来た民間療法でした。
これは、大根とはちみつの潤わせる働きを利用した薬膳ですね。
調理した大根の特徴
一方、おでんやふろふき大根、味噌汁の具などとしての調理した大根は、やや冷やす性質(涼性)が温めも冷やしもしない性質(平性)に変わります。
ジアスターゼは70℃程度で死活すると言われるので、例えば大根を入れたお雑煮にして沸騰させてしまえばジアスターゼはお餅の消化を助けることにはなりません。
薬膳では、食材の持つ味も五臓のそれぞれと対応します。
大根は生では辛味で、五臓の肺に働きかけますが、加熱すると甘味になり消化器系に当たる脾に働きかけるようになります。
そして、冷やす性質が緩和されるためお腹にやさしい下痢止めなど胃腸薬のような働きに変わります。
大根の生と調理した時の違いと使い分け まとめ
生の大根は、体をやや冷やし、消化を助ける消化剤の役目を果たします。
特に消化酵素ジアスターゼはでんぷんの消化を促進するため、焼餅に大根おろしをからめて食べるからみ餅には意味があります。
胃もたれしているな~、食べ過ぎだな~という時は、生と覚えて下さいね。
それ以外でも、胃腸を守り揚げ物の消化を促したり焼き魚の焦げの発がん性を緩和させる働きがあります。
ただし、気を下に下げる働きもあるため、お腹が冷えていたり下痢気味の時は更に悪化させてしまう可能性があります。
一方、調理した大根は性質が平性に変わり、お腹にやさしい胃腸薬の役目に変わります。
お腹が心もとないな~、なんだかお腹を壊しそう!という時は調理した温かい大根ですよ!
大根はその日、その人の体質や体調によって使い分けられる食材です。
使い分けると効果を実感できるはずです。お試しください。
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