ブログ 中医学

大根の生で食べる時と調理した時の違いと使い分け方を薬膳の視点からお伝えします

2021年1月4日

 

生の大根と調理した大根の違い なかったことにする薬連

 

でんぷんの消化を助ける酵素、ジアスターゼが含まれることから、お餅を食べるなら大根おろしに醤油を混ぜて食べるからみ餅をおすすめしたり、脂っこいものを食べる時や焼き魚に大根おろしをおすすめしています。

これらはいつも生の大根です。

日本では冬になるとおでんに入れたり、ふろふき大根にしたり、味噌汁やお鍋に入れるなど調理して味のしみた美味しい大根を食べる食文化もあります。

生の大根と調理した大根では何が違うのか?どんな時に生?どんな時に加熱?
使い分け方を薬膳の視点からお伝えします。

 

 

生の大根の特徴

生の大根には、でんぷんの消化酵素ジアスターゼが含まれます。

ジアスターゼは山芋(長芋)にも含まれています。大根と山芋、この2つの共通点は「生でも食べられる」ということになります。

この生と言うところが重要で、ジアスターゼは熱に弱いのです!そうです、調理したらなくなってしまいます。

生の大根は体をやや冷やす性質を持ち(涼性)、中医学で言う体の構成要素「気血津液」の気の流れを良くしながら下に下ろす働きをします。

つまり、胃もたれや胸やけ消化不良など、胃に熱がある時やお餅などのでんぷんの消化を促すので、お腹をスッキリさせたい時の消化剤としておすすめです。

また、揚げ物を食べる時に胃腸への負担を軽減したり、焦げた焼き魚の発がん性を軽減する働きもあります。

この知識があれば、食べる時に大根おろしを添えたり、大根サラダを一品加えて食べながら体に起こるバランスの崩れをなかったことにする、「なかったことにする薬膳」ができますね。

 

生の大根は消化を助ける

大根は生だと消化を助けるジアスターゼが豊富。

 

ところが、生の大根は、体にこもった熱を冷ます性質を持つため、胃腸が虚弱な人やお腹の調子が悪く下し気味の時はおすすめではありません。

辛味大根たっぷりのおろし蕎麦を食べるとお腹を下してしまう人もいます。

それは、蕎麦も体を冷やす性質で下に下ろす働きがあるためなのです。

大根は消化促進だけでなく、痰の多い咳が出る時や喉の痛みがある時にも良い食材です。

大根を賽の目に切り上からひたひたにはちみつを注いで一晩おくと、大根のエキスが上って来ます。

それを白湯や水で薄めて飲む大根飴は昔から喉の痛みや咳止めとして日本に伝わって来た民間療法でした。

これは、大根とはちみつの潤わせる働きを利用した薬膳ですね。

 

 

調理した大根の特徴

一方、おでんやふろふき大根、味噌汁の具などとしての調理した大根は、やや冷やす性質(涼性)が温めも冷やしもしない性質(平性)に変わります。

ジアスターゼは70℃程度で死活すると言われるので、例えば大根を入れたお雑煮にして沸騰させてしまえばジアスターゼはお餅の消化を助けることにはなりません。

薬膳では、食材の持つ味も五臓のそれぞれと対応します。

大根は生では辛味で、五臓の肺に働きかけますが、加熱すると甘味になり消化器系に当たる脾に働きかけるようになります。

そして、冷やす性質が緩和されるためお腹にやさしい下痢止めなど胃腸薬のような働きに変わります。

 

おでんの大根はお腹にやさしい

柔らかく煮たおでんの大根はお腹の事を考えた薬膳です。

 

 

大根の生と調理した時の違いと使い分け まとめ

生の大根は、体をやや冷やし、消化を助ける消化剤の役目を果たします。

特に消化酵素ジアスターゼはでんぷんの消化を促進するため、焼餅に大根おろしをからめて食べるからみ餅には意味があります。

胃もたれしているな~、食べ過ぎだな~という時は、生と覚えて下さいね。

それ以外でも、胃腸を守り揚げ物の消化を促したり焼き魚の焦げの発がん性を緩和させる働きがあります。

ただし、気を下に下げる働きもあるため、お腹が冷えていたり下痢気味の時は更に悪化させてしまう可能性があります。

一方、調理した大根は性質が平性に変わり、お腹にやさしい胃腸薬の役目に変わります。

お腹が心もとないな~、なんだかお腹を壊しそう!という時は調理した温かい大根ですよ!

大根はその日、その人の体質や体調によって使い分けられる食材です。

使い分けると効果を実感できるはずです。お試しください。

 

 

【関連動画】

 

 

 

 

 

体質的に食べない方が良いものを、たまに食べてもなかったことにできる薬膳の知恵が学べる無料メール講座配信中

 

お知らせ 中医学 活動報告

2024/7/21

【活動報告】子宮を知って子宮と仲良くなる講座開講

2024年7月17日(水)オンライン(zoom)にて『子宮を知って子宮と仲良くなる講座』を単発にて開講しました。     カウンセリング時に女性の方には必ず生理の状況の質問をします。 これは閉経していてもです。   漢方薬局でもこれは同じ。   その理由は女性の体の状態が毎月の生理に現れるからなのです。   けれど、中医学の基礎では五臓六腑の働きやそれぞれの関連性を学んでも「子宮」については五臓六腑の関連では出て来ません。   そこで女性はぜひ知 ...

ReadMore

お知らせ 活動報告 薬膳茶

2024/7/19

【活動報告】ワークショップ『スーパーで買えるものを中心に!自分に合った薬膳茶を作ろう』開催

2024年7月14日(日)10:00~12:00に7名様のご参加にて対面での「スーパーで買えるものを中心に!自分に合った薬膳茶を作ろう」ワークショップを開催しました。   このワークショップは受講生の方からのリクエストにより開催を決めたものです。   薬膳茶は中医学の考え方をベースとした薬膳を飲み物に置き換えたもの。   作る時に気をつける事は、この二つが大切だとお伝えしました。   1.美味しく感じること 2.目的を決めてそれをかなえられる効能のある材料をピックア ...

ReadMore

お知らせ 活動報告

2024/7/19

特別勉強会 オーガニック食材ショッピングツアー開催 

  2024年7月4日(土)に今年のモーリー薬膳ラボ外部講師をお迎えしての勉強会『日本の食と日本人の健康を考えてみよう会』のオプションでショッピングツアーを開催しました。   ご案内くださったのは勉強会でも日本のオーガニックについての講座をしてくださった暮らす工房どんぐりのまつもとさちこさんです。   暑い日でしたがオーガニック野菜やその加工品などのお店をご紹介いただき、その後は皆さんとオーガニック野菜やグラスフェッドの牛肉を使った和食のランチ会へ。   お店のこだ ...

ReadMore

ブログ 中医学

2024/7/20

炭酸水を飲むことのメリット・デメリットと気をつけたいこと

    夏の飲み物に炭酸水を飲む人が増加傾向にあります。   炭酸水は水と同じように飲んでも大丈夫なのか胃腸への影響はどうなのか? ここでは中医学の視点から炭酸水を飲むメリットとデメリットを解説します。   目次1 炭酸水とは?2 炭酸水の特徴3 炭酸水を飲むメリット3.1 疲労回復効果3.2 血行促進3.3 食欲増進3.4 便秘解消3.5 ダイエット効果3.6 嚥下反射促進4 炭酸水を飲む時のデメリットと気をつけたいこと4.1 炭酸ガスが胃を膨らませるため胃酸が逆 ...

ReadMore

お知らせ 活動報告

2024/7/19

特別勉強会 全4回の「日本の食と日本人の健康を考えてみよう会」終了しました

    2024年2月から月に一度のペースで外部講師をお招きして開催してきた『日本の食と日本人の健康を考えてみよう会』全4回が2024年5月20日(月)に終了しました。   オーガニックは体のために良さそうだけれど、値段が高いとかセレブの人のものという印象があったかもしれない参加者の皆さんが、日常の食材選びの中でオーガニックのメリットとデメリットを知り、少しずつ自分目線でオーガニックを意識されるようになって来ました。   4回目はこれまでのおさらいの後、参加者の方々 ...

ReadMore

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

森澤孝美

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

-ブログ, 中医学
-, , ,

© 2024 モーリー薬膳ラボ 簡単エイジングケア薬膳講師 森澤孝美 なかったことにする薬膳