タレントや芸能人が推奨している1日に水を3リットル以上飲むダイエットや健康法は誰にでも合うわけではありません。
彼らは、健康面と運動面でパーソナルトレーナーの指導を受け、その中に3リットル毎日水を飲むことが含まれているのかもしれません。
今の体の状態や体質に合うかどうかが分からないのに、自己流で始めるのは大変危険です。
ここでは、毎日水3リットルダイエットや健康法をやってはいけない人を中医学と薬膳の視点から7タイプに分けてお話します。
目次
体に余分な水分を溜めている人
もともと浮腫みやすくて、皮膚に水疱ができたり、よく鼻水が出る人はもともと体に余分な水分が溜まっている可能性が高いです。
中医学で分類される水毒と言われるタイプの人です。
このタイプが3リットルもの水を飲んだら、浮腫みはさらに酷くなり雨の日や梅雨時には頭痛がしたり場合によっては回転性のめまいが起きたりするかもしれません。
浮腫むということは、要らない水分を作りやすく溜めやすいのです。
要らない水分を作るのは五臓の脾(消化器系)が弱り、水分の排泄に関わる腎がうまく働いていないと考えられます。
大量の水を飲むとさらに脾は弱り水を溜めやすくなるので、浮腫みが進みます。
胃腸が弱くお腹を壊しやすい人
お腹を壊しやすいのは、体の中に要らない水分がありそれが尿で出せずに余っていると考えられます。
消化器系の脾は冷えと湿気が苦手です。
汗をかかずに3リットルの水を飲み続けていたら常に胃は水浸しです。これでは正常に働きません。
胃がタポタポするほど飲んでいるということは、胃液が飲んだ水で薄まっているので消化能力が落ちるということになります。
食べたものを効率よく消化できないので、痩せたとしても健康な痩せ方ではなく胃腸を壊したから痩せたということになります。
なので、この水の摂り方を止めればリバウンドする可能性があります。
手足が冷える冷え性の人
体の中には陰と陽のバランスがあります。
陰とは水分で陽とは温める体の保温力です。
陰と陽のバランスが1:1なら体は健康なのですが、毎日3リットルの水を飲み続けていると陰の勢いが強くなってしまうのです。
すると、火を水で消しているようなもので、温める力が間に合いません。
なので、もともと冷え性の人の体はもっと冷えてしまいます。
栄養も良く吸収できず体が冷えれば末端までの血めぐりも悪くなり手足が冷える状態になります。
運動して汗をかいていない人
アスリートは練習や試合でかく汗の量が多いことは誰にでも想像できますね。
昔は部活の練習中に水を飲んではいけない!という今聞いたら、怖いことが言われていました。根性で練習を続けるなんて自殺行為もいいところ。
汗で失った体液は、血液中の水分が補おうとします。そのため、汗をかくと濃度が濃くなり血液ドロドロになるということなのです。
当然、ドロドロの血は体の中をすばやく隅々まで巡ることができません。
中医学では、体の構成要素「気・血・津液(血液以外の液体)」は十分な量がありスムーズにめぐっていて初めて健康と考えられています。
なので、大量の汗をかく人は汗で失った水分を補わなければならないということです。
これは、真夏の炎天下で作業する大工さんや、土木作業などの力仕事をする方も同じです。
真夏の炎天下で激しい運動をする場合には、人によっては3リットルでも足りないかもしれませんが、運動をして汗をかいていない人はここまで大量の水は必要ないと言えるでしょう。
疲労が溜まっている人やストレスなどで巡りが悪い人
疲労が溜まっているという状態は「気・血・津液」の気が不足しているということです。
気が不足すると、食べたり飲んだりしたものを体に必要な栄養や体液に変え、不要な物は排出するという代謝機能が悪くなります。
なので、疲労が溜まっている人やストレスで気の巡りが悪くなっている人はが、3リットルもの水を飲むとますます代謝が落ちて重だるく浮腫んでしまいます。
気は体の保温作用も担っているので、冷えも同時に進むでしょう。
冷えれば血液循環も悪くなります。悪循環がどんどん連鎖して行きます。
フルーツを良く食べる人
フルーツのほとんどは体を冷やす性質を持ちます。
そして水分が豊富なものが多いので、フルーツを良く食べる人はもともと体が冷えていることが多いです。
毎日水3リットルを飲めば、さらに冷えてしまいます。
特に南国原産のフルーツや夏が旬のフルーツは、ジューシーですね。
暑い時に食べると体を冷やし、汗で失った体液を補うことで潤いをキープさせる効果がありますが、熱くなく汗もかかない時にフルーツを頻繁に食べる上、水を3リットルも飲んだら体は冷えて水浸し状態ということですね。
甘いものを良く食べる人
日頃から、砂糖を使った甘いものを良く食べる人は脾が弱りやすいため、要らない水分をつくりやすい体質になります。
鶏の胸肉は油が少なく調理するとパサパサ気味ですが、しっとり仕上げるために下準備の時に砂糖と塩を擦り込みます。
こうして鶏ハムを作るとパサつかずにしっとりとしたハムができます。
このイメージで、砂糖を使った甘いものを良く食べている人は脾が弱りやすく、脾が弱ると要らない水分を作るようになり水はけが悪くなってしまいます。
このタイプの人の肌はしっとりもちもちしていますが、浮腫みやすい、車酔いする、雨の日に体調が悪くなりやすいなどの不調を抱えている人が多いです。
毎日水3リットル飲むダイエットや健康法をするには自分の今の体調を確認してから
水を大量に飲むと、その分尿量も増えるはずです。
大量の尿を作って排泄することは腎臓の負担になります。
このダイエットをして腎臓が悪くなった事例もありますので、毎日水3リットル飲むダイエットや健康法をする前に自分の体が今どのような状態で、この方法が合っているのかを見極めることが大切です。
人の体は千差万別です。
誰かがやってうまく行った方法でも、合う人合わない人がいるのは体質や生活パターンが同じではないからなのです。
最初に言ったように、タレントや芸能人は体が資本。商品です。
そのためには、本人や事務所がパーソナルトレーナーをつけて栄養面、運動面をしっかりサポートしているはずです。
定期的に医師の診察を受けているかもしれません。
運動でしっかり汗をかき、その人がしっかり代謝できているなら3リットル毎日水を飲んでも不調にならないと思います。
一般的に中医学で言われることを総合すると、
1.浮腫みやすい人
2.胃腸が弱い人
3.冷え性の人
4.運動して汗をかく習慣がない人
5.疲労やストレスが溜まっている人
6.フルーツを良く食べる人
7.甘いものを良く食べる人
こんなタイプは水を大量に飲むことは避けた方が良いと言えます。
※このようなタイプでも、住む場所が変わると体質が変わることがあります。
極端に言うと、気温が高く乾燥した砂漠のような場所で暮らせば3リットル毎日水を飲むことが体に合うかもしれません。
日本人は、米に水を加える炊飯という調理でつくるご飯の主食とみそ汁を基本としています。
そのため、水で飲まなくてもパン食の欧米人より食事から水分を摂っていると考えられます。
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では、水は一日どれくらい飲めばよいのでしょうか。
欧米の研究の成果によると水の必要摂取量の目安は生活活動レベルが低い集団で 1日2.3リットルから2.5 リットル程度、生活活動レベルが高い集団で1日3.3リットルから3.5 リットル程度と推定されています 3)。
また、水の摂取源は欧米諸国では食物由来がおよそ20%から30%、残りが飲物で70%から80%であることから、水分補給として1日1.5リットルの水を飲むべきであるとされています2)。
しかし、日本人の水の摂取源の割合は、和食の献立に代表されるように水分含量が高い食事であるため、食物由来からの摂取割合が欧米諸国よりも異なることが予想されます。
しかしながら、現在のところ水の摂取量および水の摂取源について、日本人を対象とした信頼度の高い研究は極めて乏しく参考となる報告がありません。また、水の必要量を性・年齢・身体活動レベル別に算定するための科学的根拠は、いまだに十分には整っていないため今後の研究が進むことが期待されています。
(公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネットより抜粋)