夏が旬のとうもろこし。
茹でたり焼いたりして食べるだけでなく、とうもろこしご飯などで味わうこともあるでしょう。
皮をむくと、皮と実の間にあるひげと呼ばれる繊維を捨ててしまっていませんか?
とうもろこしのひげは、日本の梅雨から夏に有効な効能があるのです。
ここでは、とうもろこしのひげの効能と活用法を薬膳の視点からご紹介します。
目次
とうもろこしのひげの効能
とうもろこしの実を守っているかのような薄い黄緑の繊維がひげ。
実は、とうもろこしのめしべなのです。絹糸(けんし)と言って、実の数と同じ本数が入っています。
ひげには、体に溜まった不要な水分を排泄させる効能があり、薬膳では、玉米鬚(ぎょくべいしゅ)と言います。
梅雨のジメジメとした湿度の高い日々。
湿気は、重だるさやむくみ、食欲不振や下痢などの消化器系の不調の他、雨の降る日の不調原因になりやすいのです。
梅雨時や雨の日に洗濯物干すと、空気中の湿気でなかなか乾きませんが、同じことが人の体にも起こると考えられます。
つまり、乾燥している日と比べて、すでに溜まっている要らない水分が体から出にくくなります。
その上、更に空気中の水分を吸うことになり、結果として浮腫みや重だるさ、消化器系の不調に繋がるのです。
湿度があると、実際の気温より体感的に暑く感じます。
そのため、冷たい飲み物や食べ物で涼を求めがちに。
ところが、氷がたっぷり入った飲み物やアイスなどは消化器系の働きに当たる五臓の「脾」を弱らせます。
結果として、要らない水分を出しにくい上、水巡りが悪くなり、溜め込みやすい体の状態になってしまうと考えられます。
このような湿気の多い梅雨から夏には、とうもろこしのひげの「要らない水分を排泄させる」効能を利用して活用しましょう。
次から、とうもろこしのひげの活用法です。
とうもろこしのひげ活用法
とうもろこしのひげにはほんのりした甘みがあります。
そのため、とうもろこしご飯に一緒に炊き込むとよく合います。
また、たくさんひげがある時は保存して一年中使えるようにすることで、とうもろこしが手に入りにくい時期にも使えます。
順番に活用方法をご紹介します。
とうもろこしご飯に炊き込む
とうもろこしご飯を炊く時に、実だけでなくひげも一緒に炊き込みます。
外側に出ている茶色くて硬い部分は除き、黄緑色の柔らかに部分だけを使います。
みじん切りにしたら、米、とうもろこしの実、あれば昆布と一緒に炊き込むのです。
ひげを煮ることになり、炊けたご飯がエキスを吸っています。
みじん切りにしておけば、食べる時食感も悪くなく言われなければひげが入っていると気づかないかもしれません。
とうもろこしのひげがたくさんある時は天日干しで保存する
一度に何本もとうもろこしが手に入ったら、その分ひげも大量です。
さすがに全部ご飯に入れることは難しいため、捨ててしまおうかと思うかもしれません。
とうもろこしのひげは、新鮮な時だけでなく保存して使うこともできるのです。
ざるなどに並べて天日干しすると、水分が蒸発し茶色い繊維になります。これを南蛮毛(なんばんもう・なんばんげ)と言います。
南蛮毛はそのまま飲んでもほとんど味が無いので、とうもろこしのお茶(コーン茶)に入っていることが多いです。
もし入っていないコーン茶を買った場合は、南蛮毛を加えて飲むと良いです。
浮腫みや重だるい時の薬膳茶になります。
コーン茶以外でも、はと麦茶や黒豆茶などの要らない水分を排泄させる効能のあるお茶に、南蛮毛を合わせると効果の高い湿気対策薬膳茶ができます。
とうもろこしには消化器系を丈夫にする効能があるため、結果的に水を溜めにくい体にする効能はありますが、直接利尿効果はあまり強くありません。
その点、ひげには水はけを良くする効能があるとされています。
沢山ひげがある時は天日干しにしてから、密封容器に乾燥材と共に入れて保存。
翌年の梅雨時、湿気の多い夏にも使えます。
缶詰のコーンでも南蛮毛を入れたらとうもろこしのひげのみじん切りと同じ
とうもろこしは鮮度が命です。
収穫した直後なら生でそのまま食べることもできます。
甘みもジューシーさもありますが、収穫からの時間経過とともに甘みも減少。
そんな時はコーン缶でも南蛮毛を使えば、フレッシュなひげのみじん切り同様に湿気対策薬膳ごはんになります。
フレッシュなひげより、食感が硬いためお茶パックに入れて炊き込み、炊けたらパックごと除く方法が簡単です。
南蛮毛は直接食べませんが、煮出すことになるためエキスはご飯に出て吸い込まれています。

ご飯が炊けたらお茶パックごと捨てられるので便利。
とうもろこしのひげの効能と活用法
とうもろこしのひげには、体に溜まった不要な水分を排泄させると言う薬膳の効能があります。
とうもろこしご飯に一緒に炊き込んだり、天日干しで乾燥させることで保存しやすくなるため、一年中、雨で湿気が多い時でも活用できます。
新鮮なとうもろこしのひげでなくても、お茶に使ったりご飯にエキスを吸わせる炊き込みご飯としての活用法もあります。
薬膳の基になる中医学では、揚げ物やこってりした味付けのものは消化器系の「脾」を弱らせるため、とうもろこしのひげととうもろこしのかき揚げなどは梅雨時におすすめしません。
ひげの効能を知り捨てずに活用。しっかり梅雨の対策をして過ごしましょう。
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