「薬膳茶」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ハーブティーは多くの女性にすでに受け入れられてメニューに取り入れているカフェも増えて来ましたね。
薬膳茶を提供しているカフェはまだ多くありませんが、健康を考えて自宅で薬膳茶を飲む人も増えて来ました。
ただ、薬膳茶=体に良さそうというだけで飲んでいるケースも多いようです。
それははっきり言ってもったいないです。
なぜなら、作る時にちょっとしたことに気をつけるだけでよりおいしく、健康的に香り良い薬膳茶を飲むことができるからです。
例えば、葉や花などの薄い物や軽い物はお湯を注いで短時間で抽出すると香りも良く美味しくなりますが、ドライフルーツや乾燥した豆類などの固い物や重い物は煮出して抽出する方が、成分も濃く出ますし風味も良くなります。
ここでは、薬膳茶を自分で作りたい人に向けて、基本となる作り方と注意点を解説します。
目次
薬膳茶とはどんなもの?
薬膳茶は漢方薬とは違い、おいしく飲めるものです。
漢方薬は苦い・臭いが独特・美味しくないなど積極的に飲みたいと思えないものかもしれません。
薬膳茶も同じように苦くて美味しくないものなのでしょうか?
薬膳茶は健康維持と美味しさの両方を受け継いだもの
薬膳の生まれた中国では、自然に生えている植物の花、葉、果実、茎、樹皮、根などを病気を治す薬として使ってきた歴史があります。
複数の植物や動物、鉱物の部位を効果や性質を加味して組み合わせたものが漢方薬です。
植物には薬としての効き目だけでなく加工して飲むとおいしいものもあります。
薬膳茶は、健康維持や不快な症状を悪化させないなどの効果とおいしさの両方を兼ね備えた飲み物として、中国では長く受け継がれて来ました。
箸やスプーンを使わなくてもそのまま飲めるものは薬膳茶
日本でお茶というと、京都や静岡などで栽培されているチャノキ(茶樹)の葉や茎を乾燥させたものと、発酵させたり茶葉に他の植物や香料を加えて加工したものを指しますね。
中国にももちろんこのお茶はあります。
有名なウーロン茶、プーアル茶、紅茶や、ジャスミン茶のように花を乾燥させたものを加えたり、花の香りだけを茶葉に移した花茶がそれです。
けれど、チャノキの葉や茎が使われたものだけでなく、箸やスプーンなどを使わずにそのまま飲めるものも「お茶」と定義されているのです。
例えば何かのお茶に果汁や果肉を入れたものや、ドライフルーツやナッツを入れたものでもお茶となります。
韓国の有名なドリンク「ミスッカル」もお茶になるのですが、韓国には中国伝統医学が朝鮮半島に渡り独自に進化発展した韓医学が根付いているため、健康維持ドリンク、ミスッカルもお茶の一つになります。
スティック状のもの、砂糖が入った甘い味の物も販売されているので、軽い朝食や軽食にもなります。
ミスッカル(미숫가루、ミスカルとも)は米粉・麦粉(はったい粉)・豆粉などを蒸したり炒めたりしたものを粉にして混ぜ合わせた朝鮮の伝統食品。ミシッカル(미싯가루)とも。
水や湯、牛乳などで溶いて、好みで蜂蜜や砂糖を加えて朝食や間食に飲まれる[1]。これをミス(미수)という。
家庭で簡単に作ることができるので夏の家庭用飲料や戦乱時の非常食として使用されてきた[2]。
近年韓国では健康ブームにあやかって膳食(선식)という名で従来の材料に加え、鳩麦、玄米、玉蜀黍、黒米、黒豆、胡麻、荏胡麻、山芋、青菜、抹茶、落花生、胡桃、栗、銀杏、昆布、松葉、よもぎなどが個人の体質や季節、体調に合わせて配合されて高級デパートなどで販売されるようにもなった[1]。
この考えで行くと、お餅の入っていないぜんざいなども薬膳茶になりそうだと思えませんか?
薬膳茶を自宅で作る時に準備するものと注意点
家庭で薬膳茶を作る時に、準備するものはその日の体調や天候にあわせて選びます。
慣れないうちは、ベースになる茶葉を選び、そこに数種類のドライフルーツや花、煎った豆などを加えると自分のためのオリジナル薬膳茶です。
ベースを選ぶ時点から目的に合うものを選びましょう。
薬膳茶のベースを選ぶ
まずベースの選び方です。薬膳ではすべての食材にそれが体に入ると体が温まる、こもった熱を冷ます、温めも冷やしもしないとう性質があると考えます。
人の体は天候の影響を受けるため、寒い日には温める性質の紅茶、暑い日には熱を冷ます緑茶、どんな時でもベースになるのはほうじ茶など。
茶葉を使わずに、煎った豆や実に黒豆に熱湯を注いで飲む黒豆茶やコーン茶、葉を乾燥させたドクダミ茶やよもぎ茶をベースにする方法もあります。
茶葉以外のものをベースに選ぶ時は、その食材の性質だけでなく特性(効果)も考えます。
茶葉の場合は、程度の差はありますが、特性は体に溜まっている不要な水分の排泄です。
茶葉以外の食材の場合は、自分の体調や天候からの不調に合わせて選びましょう。
黒豆は温めも冷やしもしない性質で、不要な水分を排泄したり中医学で言われる体の構成要素「気血津液」の「血」を増やすと言わるため、むくみが気になる時や雨の日に重だるさのある女性におすすめです。
ドクダミ茶は体にこもった熱を冷まし、解毒効果があるとされます。
皮膚に炎症がある時やニキビなどにも効果があると言われる漢方薬の材料(生薬しょうやく)魚醒草(ぎょせいそう)です。
薬膳茶の入れ方の注意点
茶葉は煮出すのではなく急須に入れた茶葉の上から、そのお茶の適温のお湯を注ぎ葉がゆっくり開くまで数分待ちます。
紅茶では茶葉がティーポットの中でジャンピングするうちはまだ十分葉が開ききっていないと言いますよね。
薬膳茶の中でも、このようにお湯を注いで抽出するお茶と、煮出すお茶があるのをご存じでしょうか?
■軽いものはお湯を注いで抽出する
葉や花などが中心の薬膳茶は、お湯を注いでしばらく置き、抽出させたものを飲みます。
特に揮発しやすい花や葉などの香りの良いものは、自分でブレンドする時、一番上に置きます。
するとお湯を注いだ時にふわっと香る香りが楽しめますよ。
■固いもの、重いものは煮出して抽出する
もともと漢方薬は煎じ薬というように、煮出して成分を抽出したものを飲みます。
これと同じで、皮の固いなつめや蒸したショウガ、煎り黒豆などは煮出した方が味も成分もしっかり抽出されます。
外出の際に持って行きたいのに煮出す時間がない時は、保温ポットに煮出したいものを入れ熱湯を注いで蓋をして持参するのがおすすめ。
保温ポットの中でじわじわと抽出されます。暑いので口を火傷しないように気をつけてくださいね。
まとめ
薬膳茶を自分で作る時、気をつけることはどんな目的のお茶にするかを決めてからベースとブレンドするものを選ぶことから始めます。
まず、天候やその日の体調により、冷やしたいのか温めたいのかを決めます。
次にベースとなるお茶の中から決めた性質を持つものを選び、そこにブレンドするものを加えて行きます。
薬ではないので、美味しいことが一番です。
組み合わせ方は無限にありますが、合計3~5種類くらいがバランスも良く続けて行きやすい薬膳茶になります。
入れ方は、葉や花などの軽いものはお湯を注いで抽出する入れ方、固いもの、ドライフルーツやカラカラに乾燥させた受領の重いものは鍋ややかんで煮出して抽出します。
薬膳茶は薬ではありませんが、美味しく飲めて健康維持や突発的に起こった軽い頭痛や冷えなどは緩和することが期待できます。
気軽に簡単にできる薬膳の一つですので、ご自身の体調に合わせてオリジナル薬膳茶を作ってみてくださいね。
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