夏のスタミナ食と言えば、土用の丑の日に食べるうなぎや焼き肉、ステーキが思い浮かぶのではないでしょうか?
夏バテしないようにとせっかく栄養があるうなぎを食べたのに下痢してしまう人がいます。
胃腸が弱いから下痢をするとあきらめる前に、せっかくなら栄養豊富なうなぎを下痢をしないで食べられる方法があったら良いと思いませんか?
薬膳では、食材の食べ合わせ方で消化器系への負担を軽減させて、下痢をしにくくうなぎを食べる方法があります。
ここでは、胃腸が弱い人がなぜうなぎで下痢をするのか?どんな食材と一緒に食べると下痢しにくく食べられるのかを薬膳の基になる中医学と薬膳の視点からお伝えします。
目次
うなぎに関わらず下痢の原因となる胃腸を弱らせる味付け
胃腸に当たる内臓のシステムを五臓の「脾」と言います。
「脾」とは脾臓のことではなく消化吸収排泄を担当するシステムと思ってください。
このシステムは胃とペアになって働くと考えられていて、うまく機能させるためには湿気が無い状態にしておくことと冷やさないことがとても大切です。
そして、脾には苦手な味付けがあります。
「肥甘厚味(ひかんこうみ)」と言いますが、
肥・・・脂っこい
甘・・・甘い味(主に砂糖を使ったもの)
厚・・・コッテリした
これが合わさった味付けのことです。
これは、うなぎの蒲焼そのものじゃありませんか!!
甘辛の味付けは和食にはいくらでもありますが、筑前煮のようなものはそこまで脂っこくはないですよね?
輸入うなぎとなると脂っこいと感じるものもあるので、苦手な人もいるはずです。
季節に関係なく、冷たいもの、生野菜のサラダ、揚げ物、甘いもの、コッテリしたものを好んで食べていると知らずに脾が弱っている可能性があります。
これが、冷たいものと「肥甘厚味」のものを食べて胃腸を弱らせている人の特徴的な食事です。
日頃の食生活で胃腸を弱らせていること、夏になりいつもにも増して冷たいものを食べたり飲んだりしているために消化力が落ちてしまうのです。
脾や胃が弱っている状態ですね。
この状態では、うなぎの蒲焼、うな重などを食べると下痢をしやすくなると考えられます。
うなぎを食べて下痢をしないための薬膳で言われている食材の効能
中医学を基にする薬膳には、食材の組み合わせ方や調理のしかたで、ある食材の体への影響を緩和させる方法があります。
うなぎに関してはまず以下の4つが有効です。
1.脾が弱ると、要らない水分を溜めやすくなるため、あらかじめ出すのが得意な食材を合わせて食べておく。
下痢すること自体、腸内で水分吸収がでいていないと考えるため、普段から要らない水分は尿として出せるように浮腫みなどがあるなら日頃から利尿効果のある食材を食べておきます。
わざわざ食べるものだと忘れてしまうこともあるので、ご飯に炊き込んでしまえるものや汁物の出汁としてつかうのが便利です⇒ (例)白米に、はと麦や豆類を混ぜて炊く。
2.胃粘膜を保護するネバネバ食材を一緒に食べる。
ねばねば食材の中でも山芋(長芋でよい)のとろろを一緒に。山芋は薬膳ではエイジングケア食材で乾燥させたものは山薬(さんやく)と言う漢方生薬です。
山の薬と言われるだけあり、滋養強壮効果が期待できるため、疲れた時にもおすすめです。
家でうなぎを食べるなら、はと麦入ごはんの上にとろろを敷き、その上にうなぎを載せて一緒にいただきます。
胃腸が弱くて、栄養の吸収力が良くないと疲れやすかったりもします。
そんな人は、日頃から山芋(長芋)を常食に。生で食べられる芋なので、千切りにしたりとろろにしたり、みそ汁の具としても美味しいです。
3.脂っこいものを食べるとどぶの水がヘドロになりやすいのでヘドロを出すのが得意な昆布を使う⇒味噌汁は昆布出汁に。
要らない水分は体の中のどぶの水です。
早く出せると良いのですが長く出せずに浮腫みや水疱などになっている人は、少しずつ体温で温められたりスパイスなどの辛いもので熱を加えられると粘度を増したヘドロになります。
汚いどぶの水でもサラサラならまだ出しやすいですが、粘度が付くとすぐに出しにくくなってしまいますので、そんな時は昆布などの海藻類の出番です。
薬膳では昆布には「軟堅」効果があると言われ、溶かして排泄すると考えられているからです。
使い方は、昆布そのものを食べても良いですが、味噌汁やお吸い物の出汁を昆布出汁として使います。
うなぎを食べる時に一生に添える味噌汁やお吸い物の出汁を昆布出汁にしてみましょう。
甲状腺疾患のある場合は、昆布に含まれるヨードが症状を悪化させることがあるので、医師の指示に従ってくださいね。
4.発酵食品を一緒に食べて腸内環境を整える。
発酵食品は腸内環境を整えて要らないものを出しやすい体にするため。⇒(例)ぬか漬けを食べる
発酵食品の中でも和の発酵食品のぬか漬けには植物性乳酸菌が豊富で、生きたまま腸まで届きやすいと言われています。
腸内環境を整えて、便秘や下痢をし難くしておくためにぬか漬けはおすすめです。
日頃からぬか漬けや塩麹、甘酒などの和の発酵食品を食べておき、うなぎを食べる時も同様にぬか漬けを添えましょう。
普段はうなぎで下痢しなくてもこんな症状が出ていたら注意
自分では胃腸は丈夫と思っている人でも、脾が弱っていることがあります。
中医学では、体の中で起っていることは外に現れると考えられているので、コッテリしたうなぎや焼肉を食べた時に下痢する以外でも、消化器系のシステム「脾」が弱るとでやすい症状があります。
以下に説明する症状が出ている場合は、脾が弱っている可能性があるので、うなぎを食べる時な下痢をしないための食べ方をしてみると良いかもしれません。
食欲不振や、消化不良、お腹がちゃぽちゃぽしたり、浮腫みやすい、重だるい、掌や足裏に汗をかきやすい、皮膚に水疱ができやすいなど。
食欲不振や消化不良はわかりやすいと思いますが、浮腫みや汗、水疱などはわかりにくいのではないでしょうか?
これは、脾が担っていることの一つ、水巡りが上手く行っていなくて起こるのです。
本来、尿として排泄するはずの不要な水分を排泄できず、まだお腹にあるからちゃぽちゃぽする、手や脚の浮腫みに繋がる、浮腫みがあれば脚は冷えます。
お尻や太ももなどの肉の多い場所や掌や足裏に汗をかきやすいのも特徴で、不要な水分が弱い所に出たものが皮膚のブツブツした水疱と言われるのです。
このような特徴がいくつか表れている人は、体質的に脾や胃が弱いか今の状態が脾や胃の機能が弱っているために、うなぎで下痢をする可能性があります。
これらを踏まえたうえで、下痢せずうなぎを食べる方法を試してみてください。
食材の組み合わせで下痢せずうなぎを食べる薬膳の知恵まとめ
今までお伝えして来たように、下痢が起こりやすい原因は消化器系に当たるシステム五臓の「脾」が弱っているためということがわかっていただけたでしょうか?
冷たいものの摂り過ぎで一時的に弱っている場合もあれば、体質的に弱い場合もあります。
また、過度のストレスにより「脾」が弱っているケースもありますし、暑さで食欲が落ちることで消化器系への栄養が不足することにより機能が落ちることも考えられます。
どちらにしても、せっかく栄養のあるうなぎを食べるなら、その栄養はしっかり吸収してエネルギーと必要な栄養素として吸収しなければもったいないです。
下痢せずうなぎを食べるには、要らない水分を溜めないように、日頃から消化器系の苦手な「肥甘厚味」のものや冷たいものをなるべく控えておくことも大切ですが、食材の組み合わせで胃腸を守りながら美味しく食べることを心がけてみてください。
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