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40代に更年期症状を対処できる複数の選択肢をおすすめする理由

 

 

更年期を対処する複数の選択肢

 

以前、NHKスペシャルで#みんなの更年期という番組を放送されていたのをご存知でしょうか?
薬膳講座を受講された方にも見てもらいたくお知らせしたところ、たくさんの方から感想やお返事をいただくことができました。

 

この番組を観て、中医学や薬膳の強みは自分でセルフケアできることだと改めて感じました。

待った!が効かない更年期の辛い症状の時に中医学と薬膳の知識が使えるからです。

 

研究が進んでいても医療現場の支援がまだ十分ではない現状があります。
女性が家庭でも社会でも活躍するためには、更年期を取り巻く法律や職場の理解などの環境整備も必要です。

 

ですが、待った!が効かない更年期の症状だからこそ、辛い症状を対処するための選択肢はいくつか持っておくと良いと考えています。

ここでは、更年期かも?と感じたら、婦人科を受診することと並行して対処する選択肢を持つことの大切さについて実体験から書きます。

 

10年前とあまり変わっていない更年期の現場

私が更年期に悩んでいたのは、今から約10年前の2010年頃でした。
あれから10年経っているので更年期世代は抜けていますが、番組を見ながらあの頃とあまり変わっていない現状に驚きを隠せませんでした。

 

丁度更年期かも?と感じた頃、とある雑誌で「更年期」が特集されており、その中には、欧米では治療としてすでに使われていたホルモン補充療法(HRT)の事が書かれていたのです。

早めに始めた方がいいだろうし一度相談してみようと、かかりつけの婦人科の門を叩きました。

 

そこでは、乳がんリスクがあるからと積極的に勧めない旨を言われ、「まずは乳がん検診をして来てください。」と言われました。

 

 

医師がホルモン補充療法(HRT)を勧めたくないのは明確でした。

「時間を作って受診したのに。」と思ったものの、「まだはっきり更年期症状が出ているわけではないからいいか~。」と、その時は何もせずに終わってしまいました。

 

「ホルモン補充療法(HRT)はリスクがあるから」と言われたことが鮮明に残っていましたが、現代では「ホルモン補充療法=乳がんリスクが上る」というデータはなく、更年期にホルモン補充療法をすることで様々なメリットがあることもわかってきています。

 

そのため、更年期症状がきつく通常の生活や職業に支障がある場合は、無理をせずにホルモン補充療法も選択肢の一つだと個人的には考えています。

あれから10年。ホルモン補充療法に関する認識も変わってきているはずと思っていた私は、番組でのアンケート結果に驚きを隠せませんでした。

 

まずホルモン補充療法を受けていると答えた人は、現在更年期症状を経験している4050代女性で5.2%しかいなかったのです。(調査人数 8,247人)

1割にも達していません。
この理由は次に驚いた事とも関係します。

 

ホルモン補充療法を行っていない医師に聞いたアンケート結果です。
なぜホルモン補充療法を行わないか聞いたところ、知識や経験不足との回答が一番多く、次に多かったのが、「問診に時間がかかり診療報酬が見合わない。」という回答でした。

 

自分で更年期について調べて受診しても、専門的にしっかり量や用法を管理してホルモン補充療法を行ってもらえるクリニックはまだまだ少ないと言うことなのです。

更年期と治療の研究をされている日本女性医学学会では更年期医療について国に診療報酬の見直しを求めているようですが実現のめどが立っていないのが現状です。

 

更年期に待った!はない

更年期の研究は進んでいても医療の現場が足踏み状態では、当事者は辛い症状を抱えたまま過ごさなければなりません。

私はホルモン補充療法をしないまま、徐々に更年期症状がきつくなっていきました。

 


だるくてやる気が起こらず、いつもイライラして娘をちょっとしたことで怒り(叱るではなく感情をぶつける状態)、私の更年期症状を理解できない夫にもいつもイライラしていました。

娘が思春期になり、それまではかわいそうにも母に抑えつけられて来たことがだんだん爆発するようになり、我が家は家庭崩壊ギリギリの状態にまでなったのです。

 

女同士で髪を掴み合ってケンカしたことも1度ではありません。お味噌汁の入ったお椀を流しに向かって投げられたこともありました。かなり壮絶です。

夫は娘の味方をし、私は完全に孤立して状況はどんどん悪くなりました。

こんな状態になっている家庭はきっとわが家だけではないはず。

 

当事者だった私は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少がこんなメンタルになる原因だとは渦中は考えなかったのです。正確に言えば考える余裕もありませんでした。

まさに待った!が効かない状況。

 

本来ならここで婦人科を受診すればよかったのでしょうが、以前ホルモン補充療法を止められたことがひっかかり婦人科に足を運ぶ気分にはなれませんでした。

一旦、ネガティブな印象を持ってしまうと不思議と婦人科を受診しようとは思わなくなるものです。

 

我が家が直面したのは家庭崩壊の危機でしたが、働いている女性にとって、更年期症状は仕事にも大きな影響を及ぼすことになります。

 

番組内でも更年期世代の働き方について取り上げられていました。労働基準法では、生理や産前産後に関する法律はあるにもかかわらず、更年期症状の休暇に関する法律がありません。

 

そのため更年期の不調で仕事を休む場合、パートなら時給が支払われませんし、正社員でも、休職に追い込まれ復帰したら新入社員と同じ給与に降格なんてことも。

「嫌なら居場所はない」と言われ「これまで積み重ねて来た努力の年月を全否定されたようだ。」と言う当事者の声に胸が痛かったです。

 

このように、私がホルモン補充療法を希望した当時と、現状はほとんど変わっていないのです。


それより、女性活用と言われ、社会で活躍する女性が増えているにもかかわらず仕事を断念せざるを得ない状況は10年前より酷くなっているのかもしれません。

 

私の更年期を救ってくれたアロマテラピーと薬膳

私の場合、「このままではヤバい!」と感じて、婦人科の代わりに救いを求めたのはアロマテラピーでした。

 

サロンに通ってその時間だけはリラックスできて体と心が緩む感じがしたものです。

カウンセリングからその時に合わせた精油をブレンドしてもらいます。

 

 

アロマから自分の身体に興味を持った私は、アロマと並行して中医学と薬膳を学び始めました。

中医学を学ぶことで、更年期症状で苦しかった時の自分の状態がとても理解できました。

そして、自分の体調に合わせた薬膳を取り入れることで落ち着いた生活を取り戻せたのです。

 

今思えばもっと根気よく、諦めずにホルモン補充療法で治療してもらえる婦人科を探せばよかったのかもしれません。

ですが、更年期症状が一番酷かった時の私にはそれは無理だったと思います。

アロマテラピーのサロンもたまたま知り合った方がセラピストだったことで行ってみようと思えたのであって、わざわざ探して行ったわけではなかったのです。

私の場合は、アロマテラピーと薬膳と言う他の手段があったおかげで家庭崩壊を免れることができました。

 

更年期症状緩和の選択肢は多い方がいい。40代から知っておきたい中医学と薬膳の知識

症状が重く仕事や普段の生活に支障をきたすなら婦人科クリニックでホルモン補充療法が受けるのが辛い状況から解放される早道だと考えます。

けれど、近くに病院が無かったり、条件が合わなかったりした場合、自分で症状を緩和する方法も知っておいて欲しいと思います。

その一つが中医学や薬膳ではないかと。

特に漢方薬を飲みながら薬膳の食療法を取り入れることで症状が緩和される場合もあります。

 

漬物のある家庭のごはん

 

 

ホルモン補充療法を始めるにしても、クリニック探しには気力も必要ですし、体調も整えないと根気よく探すこともできません。

 

更年期はただ我慢するのではなく自分で自分の健康維持を

更年期の不調に関しても、労働基準法が整備され、生理休暇や産前産後の産休・育休のように休めて給与の保証もされる時代にして行かなければならないと考えています。

それには女性がみんなで声を上げることも必要でしょう。

企業にとっても20年以上のキャリアを持つ優秀な人材を退職させてしまうのは大きな損失です。

ですが、一番辛いのは更年期症状で苦しむ本人なのです。

更年期は、法が整備され医療現場の状況が進むまで待ってくれません。

少しでも自分の体を自分で守るために、40代になったら自分で自分の健康を維持するための知識や情報を持っておくことが大切なのではないかと考えています。

その選択肢の一つとして、薬膳や中医学を取り入れる人が増えればと思います。

薬膳は人の体の状態に合わせて食べる食事のしかたです。

前提になるのは、その人の体の状態がどうであるかを体の外に出ている様々な特徴から見て行きます。

一つの症状に着目するのではなく、全体のバランスを見て整えるのは、漢方薬の考え方も同様です。

 

まとめ

研究が進みホルモン補充療法(HRT)のリスクについては払しょくされていますが、医療現場の状況がまだ十分対応できない状況です。住んでいる地域差や使いたくても使えない人もいるでしょう。

ホルモン補充療法(HRT)が必要な人にはスムーズに使えるようになって欲しいですが、現状を踏まえて、自分でも対処できる選択肢をあらかじめ持っておくこと。

これは、更年期を迎える前の40代から必要な事ではないしょうか。

 

NHKでは番組まとめ記事が公開されています
?https://t.co/awD0bEC3Lp

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