「生理の貧困」という言葉を聞いたことがありますか?
生理の貧困とは、ウィキペディアによると、
経済的な理由などから生理処理用品を入手することが困難な状態にあることを指す。
経済的な理由のほかにも、羞恥心により購入に躊躇いがあることや、家族の無理解により入手ができないということが、2021年3月に国際NGOのプラン・インターナショナルが15歳から24歳を対象に実施したアンケートで示された。
日本では、次のように言われています。(ウィキペディアより)
生理用品を買うお金がない、または利用できない環境にある状況は、開発途上国だけではなく先進国でも問題になっており、2016年には日本のホームレスやシングルマザーの間で問題として挙げられている。
『信濃毎日新聞』の社説では1か月あたりの生理用品に費やす金額を1000円とした場合、10代初めの初経から50歳前後の閉経までを累計すると、50万円近くを生理用品代に費やすと試算している。
2年以上にも及ぶ新型ウイルスの影響で収入が減少したことによるものだけではなく、問題に感じたことは『羞恥心』により購入に躊躇いがあることや、収入のない学生や未成年者の場合『保護者の無理解』により生理用のナプキンを得ることができないと言うことです。
厚生労働省が2022年3月に発表した調査結果によると全国の18歳から49歳までの過去1年以内に生理のあった女性3,000人のうち、生理用品の入手に苦労したことのある人は8.1%(244名)。
生理用のナプキンが使えないと、交換する頻度を減らしたり回数を減らす(長時間同じものを使用する)50.0%、他のもので代用する(トイレットペーパーやティッシュ等で代用する43.0%、タオルやガーゼ等布で代用する24.6%)など衛生的とは言えないで対応している人が、生理用品の購入・入手に苦労した人の61.9%に登りました。
不衛生な対応をすることで、将来的な病気に発展してしまうケースもあり、かぶれや痒みを経験しているケースも70%以上です。
恥ずかしさで生理用のナプキンが購入できない、家族に言えない等であればもっと悪化するまで医療機関の受診や投薬をされずに悪化させることも考えられます。
このような状況になるそもそもの原因は何なのでしょうか。
私は、『生理を恥ずかしいもの、隠すべきもの』という文化を変えること、学生や未成年者が必要に応じてナプキンを入手できる仕組み作りと認識を変えることが必要だと考えます。
成人でも経済的理由から生理用のナプキンが入手できない問題については、自治体や学校で無償配布が始まっていますので、ここでは『生理を恥ずかしいもの・隠すべきもの』と言う文化の変更と必要に応じてナプキンを入手できる仕組み作りと認識を変えることについて書いていきます。
目次
生理の貧困を生む!?生理の知識教育
日本では生理についての教育は、母親から直接娘に知らせる家庭、学校に任せている家庭、学校で習った事に母親が補足する家庭と言った状況なのではないでしょうか?
あるテレビ番組で現役大学生にインタビューしたところ、女子だけ集められて生理の話を聞かされた時点で、男子には知られてはいけないものなのだと植え付けられたと言っていました。
男子には知られないようにしているものの、逆に、ちょっとしたことで「生理前でしょう?」と揶揄されて嫌な思いをすることもあると。
同じく男子大学生にインタビューすると、詳しくわからないので触れない方がいいのかと思っている、話題にすると気まずくなりそうという意見もありました。
これを聞いた時に、昭和と何も変わっていないことに驚きを隠せませんでした。
私が小学生の頃は、林間学校前に女子だけ集められて生理の話を聞きました。
帰宅したら今日習ったと母親に伝えて準備をしてもらうように言われたと記憶しています。
この時点で、母には伝えることができましたが父には言いませんでしたし、実際初潮を迎えた時にも父に知られるのが嫌でした。恥ずかしかったのです。
40年以上も前の伝わり方が令和の今も教育現場で行われているとしたら、「生理は恥ずかしく隠さなければならないもの」という認識は男女共にいつまでも引き継がれてしまうのです。
生理の話を聞く年齢、男女一緒になどをクリアすることでこの問題は解決できるのではないかと考えます。
娘の小学校で僕も欲しいと言った男の子
私には娘がいますが、彼女が4年生の時にPTA公報の取材で私自身が「命のお話」という授業の取材をしました。
クラス全員が保健室に集められ、保健室担当の先生から母体と赤ちゃんの人形を使った性教育を受けたのです。
女子だけではありません。
実際の重さをお腹にベルトでつけ妊婦体験をしたり、生まれたばかりの赤ちゃんに見立てて3キロの人形を抱っこする経験もしました。
授業の最後に、女の子だけに生理用ナプキンの試供品が配られた時、一人の男の子が「僕も欲しい!」と言ったことを覚えています。
彼はお母さんにあげたいからと言ったのです。
自治体からの予算で女子の分しかなかったのかもしれませんが、今思えばクラス全員に渡してあげて欲しかった。
彼は女性には生理と言うものがあることを知りました。生理の時は生理痛があったり倦怠感を感じることがあることまで理解したかはわかりません。
けれども、生理用ナプキンを身近な女性である自分の母親に持って帰ってあげたいと言う感情は、生理を恥ずかしいものでも隠さなければならないものでもないと感じたから生まれた感情でしょう。
ケガをした人に絆創膏を渡してあげるのと同様に感じたのです。
4年生、9歳~10歳という年齢は、ある程度の事は理解でき、まだそれほど異性を意識しない年齢で良かったのかもしれません。
都会や地方など地域差もあるかもしれませんし、今から10年程前の話なので今の子供の成長段階に合わせて行う必要があると考えます。
生理の貧困を生まないために必要な認識作り
駅のトイレや高速道路のサービスエリアのトイレにトイレットペーパーがあるのが当たり前になったのはいつの頃だったでしょうか?
それまでは、暗くてジメジメしていてトイレットペーパーが無いのが当たり前。
利用する時にはティッシュを必ず準備しなければなりませんでした。
今では、空港、駅、高速道路のサービスエリア、デパートやショッピングモール、学校、図書館、自治体の役所、新幹線のトイレまでトイレットペーパーが備え付けられていない場所はほぼありません。
日本が豊かになったからかもしれませんが、誰もが困ることはないのです。
生理用ナプキンはなぜトイレに備え付けられていないのでしょう?
生理は個人の問題で個人で解決することだから?
それならトイレットペーパーだって同じはずです。
女性用トイレの洗面台近くに、ナプキンの自動販売機がある場合があります。
ですか、ここで売られているのは割高になります。
急に必要になった場合は、確かに便利かもしれませんが恥ずかしくて買えないとか買うだけのお金を持っていない未成年者なら利用することは無いでしょう。
ホテルやオシャレなカフェの洗面所には化粧直しのコットンや綿棒がサービスで置かれていることがあります。
それを個室のナプキンに変えることは難しいでしょうか?
スマホのアプリをかざすと無料で得られるサービスの問題点
自治体によっては、トイレ内でスマホをかざすと生理用ナプキンが一個得られるサービスを実施しているところがあります。
トイレでスマホを使う衛生面の問題もありますし、家族の無理解でナプキンを買ってもらえない家庭の場合、スマホも持たせてもらえないかもしれません。
必要な人が必要な時に得られるサービスならトイレットペーパーと同じ認識にすることが必要なのではないでしょうか。
かつては、トイレットペーパーもトイレ外への持ち出し禁止という張り紙を見ることもありましたが、今では見ることもほとんどありません。
持ち出すと言うことはロールごと盗難すると言うことですが、トイレットペーパーが安く買えるようになり盗難も減ったと言うことでしょう。
生理用ナプキンも当たり前にトイレの個室に置かれて必要な人が使えるようになれば、盗難も無くなるのではないでしょうか。
最初は一回に一個しか取り出せないような機械を設置する必要はあるかもしれませんが。
少子高齢化、妊活、更年期を考えるうえでも女性だけの問題にしない社会に
生理がある女性は妊娠する可能性がある女性です。
女性が健康でなければ、妊娠や出産にも繋がりません。
行政の支援が無ければ根本解決にはならないですが、生理に対する教育と認識の変化は金銭的な支援以外にもできることがあると考えています。
2021年より生理の貧困を問題視した政府は行政による生理用ナプキン無料配布を開始しました。
申請することで備蓄品を無償配布するものです。
これには、恥ずかしくてナプキンが買えない子が申請するかと言う疑問が残ります。
何より、役所の業務時間は学校に行っていて自分で行くことも難しいでしょう。
このような一時的な支援や援助ではなく、必要な時に必要な人がとトイレで交換することができるもの、そんな認識にして行く必要があるのではないでしょうか。
恥ずかしくて隠さなければならないものから、「生理」はあるのが当たり前と男女問わず正しく知っている事。
日本では妊娠、出産、育児、更年期と女性のライフステージで起こる様々な問題を女性だけの個人的な問題と捉えられて来ました。
これからは、個人でも自分の体、健康を正しく知ることが必要ですし、そのためには教育、行政が連携して行くことで、女性が一人で悩んだり健康を損ねなくてもよい社会にして行く必要があると考えています。
自分の体を観察することで、早く異常に気づき婦人科受診も恥ずかしいことではなく当たり前になり、女性が健康で悩んだりキャリアを諦めることが減るのではないでしょうか。
自分の体を観察する方法としてこれからも中医学の知識を講座でお伝えして行きますし、女性のライフステージに合わせて気をつけるべき体の変化も講座でお伝えして行きます。
【関連記事】