薬膳茶とは?漢方薬との違いと、体を整える取り入れ方のすすめ

「薬膳茶」と聞くと、体に良さそうだというイメージはあるものの、「普通のお茶と何が違うのか」「漢方薬とはどう違うのか」を正確に説明できる人は多くありません。
この記事では、中医学の考え方をもとに、薬膳茶の定義、使われる素材、目的、そして漢方薬との違い、さらに日常生活の中でどのように取り入れるとよいのかを具体的に解説します。

目次

薬膳茶とは何か?「お茶」ではなく「飲む食養生」

一般的に「お茶」といえば、緑茶・紅茶・烏龍茶・ほうじ茶など、茶の木(チャノキ)の葉から作られる飲み物を指します。

一方、薬膳茶は、この意味での「お茶」とは必ずしも一致しません。

薬膳茶とは、中医学の理論に基づき、体質や体調、季節、環境などを考慮して、植物や食材を組み合わせて作る、健康維持・体調管理を目的とした飲み物。

茶葉を使用する場合もありますが、茶葉を使わずに、植物の葉・花・実・種・果皮・根などを煮出す、または浸出して作る場合もあります。
つまり薬膳茶は、のどを潤す・気持ちをリフレッシュする・くつろぐといった嗜好飲料ではなく、食養生の一つと位置づけるのが適切です。

薬膳茶に使われる具体的な素材

食養生と言っても薬膳茶に使われる材料は、特別なものというよりも、むしろ身近な食材や植物が中心です。具体的には次のようなものが挙げられます。

植物の葉:桑の葉、枇杷の葉、どくだみ、薄荷(ミント) 、紫蘇など
花:菊花、ジャスミン、玫瑰花(まいかいか)、桂花(金木犀)洛神花(ローゼル)など
果実や種子:クコの実、なつめ、はとむぎ、黒豆 など
果皮や樹皮:陳皮(乾燥させたみかんの皮)、柚子の皮 など
根や茎:生姜、ごぼう、シナモン(桂皮)など

玫瑰花(まいかいか)

このように、薬膳茶に使われる材料は、多くの場合「食品」としても利用されてきた歴史があり、日常の食事にもなじみのあるものばかりです。
そのため、薬膳茶は薬というよりも、食事と同じ領域で体に働きかける「飲む薬膳」「飲む食養生」と考えると理解しやすいでしょう。

薬膳茶の目的は気軽に体のバランスを整えること

薬膳茶の目的は、単なるリフレッシュや水分補給ではありません。中医学では、健康な状態とは「気・血・津液(体内の水分)」が適切なバランスで保たれていることを意味します。

しかし現代人は、冷たい飲食物の飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレス、気候・気圧・湿度の変動などの影響により、このバランスが崩れやすくなっています。

たとえば、

  • 体が重い、むくみやすい → 体内に「湿」が多い可能性
  • 冷えやすい、疲れやすい → 「陽気」や「気」の不足
  • ほてりやすい、口が渇く → 「陰(潤い)」の不足
  • イライラしやすい、緊張しやすい → 「気」の巡りが停滞

などです。

薬膳茶は、体調に合わせて素材を選ぶことで、過剰なものを抑え、足りないものを補い、巡りを整える役割を果たします。これが、一般的なお茶や清涼飲料との根本的な違いであり、「飲む薬膳」、「飲む食養生」と考える所以です。

また、特に更年期世代の女性にとっては、ホルモンバランスの変化により、のぼせ、冷え、不眠、むくみ、イライラなど、さまざまな不調が起こりやすくなります。このような時期こそ、薬膳茶は日々の体調管理の有効な手段となります。

漢方薬との違いとは? 同じ自然由来でも役割は別

薬膳茶と漢方薬は、どちらも自然由来の素材を使うため混同されがちですが、性質と役割は明らかに異なります。

漢方薬は、日本薬局方で定められた「生薬」を一定の規格で組み合わせて作られた医薬品です。生薬には以下のようなものが含まれます。

  • 植物由来のもの(根・茎・皮・果実・種 など)
  • 動物由来のもの(角、昆虫、体の部位等)
  • 鉱物・貝殻類(牡蠣の殻、石膏、真珠等)

これらを乾燥・加工したものが生薬で、漢方薬はそれらを組み合わせて調製されます。

本来、漢方薬は中医学の「証(しょう)」に基づき処方されるのが理想ですが、日本の医療現場では、医師の処方箋により西洋医学的な症状や診断名と結び付いて処方されるケースが一般的です。

漢方薬と比較すると、薬膳茶は医薬品ではなく、日常の養生として継続的に取り入れるもの。病気の治療を直接目的とするのではなく、体調の微調整や予防を主な目的としています。

薬膳講師目線では、外食せざるを得ない時やオフィスのデスクでも手軽に取り入れられる薬膳が薬膳茶。

毎日薬膳を続けることが難しいと思われる方には、まず薬膳茶から始めると取り入れやすいと考えます。

まとめると、

  • 漢方薬:治療目的、医薬品、生薬を使用
  • 薬膳茶:予防・日々の体調管理、食品領域、食材・植物を使用

という違いがあります。

体を整える薬膳茶の正しい取り入れ方

薬膳茶を生活に取り入れる際に最も重要なのは、「流行」や「イメージ」で選ばないことです。大切なのは、今の自分の体の状態を知り、それに合ったものを選ぶこと

たとえば、

  • 湿気が多く体が重い時 → はとむぎ、黒豆、とうもろこしのヒゲなど
  • 冷えが気になる時 → 生姜、シナモン、紫蘇など
  • 目の疲れが強い時 → 菊花、クコの実など
  • ストレスを感じやすい時 → ジャスミン、紫蘇、薄荷(ミント)など

というように、目的を明確にして選びます。

重要なのは、「たくさん飲む」ことではなく、「その時適切なものを、日々継続して取り入れる」ことです。
薬膳茶は即効性を求めるものではなく、毎日の積み重ねによって体の土台を整えて、日々の体調管理に役立てて行くものです。

毎日の体調変化に目を向け、それに合わせて選択を変えていくこと。それ自体が、すでに養生の第一歩といえるでしょう。

「茶」という字が付いていても、必ずしも茶葉が使われている物とは限らず、薬膳の効能のあるエキスが飲める飲み物が薬膳茶です。

目的に合わせて、使う材料を選んで生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。
薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

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