薬膳の効能の覚え方|事典に載っていない初めての食材の調べ方 完全ガイド

新しいスーパーフードや珍しい野菜を買ったとき、手元の薬膳事典を開いても載っていなくて困ったことはありませんか?

「せっかく薬膳を学んでいるのに、効能が分からないなんて……」と落ち込む必要はありません。
10年講師をしている私自身も、すべての食材を暗記しているわけではないのです。

この記事では、事典に載っていない初めての食材に出会ったとき、プロの薬膳講師がどうやってその効能を調べ、予測しているのか、そのルールをお伝えします。

目次

1.なぜ薬膳の効能は「丸暗記」しなくて大丈夫なのか?

肉、魚、魚介類、海藻、野菜、果物、きのこ、ナッツ類、調味料、お茶……。スーパーに並んでいる食材だけでも何千、何万種類とありますよね。これらをすべて丸暗記するなんて、プロでも不可能です。

細かく全部を覚えるのではなく、例外的なものを除いて「食材が属するカテゴリの特徴を抑えている」からこそ、どんな食材にも対応できるようになります。

それに、この世にあるすべての食材が、最初から食材事典に掲載されているわけではないのです。

スーパーフードや最新食材が事典に載っていない理由

食材の掲載数が多い大きな事典には載っていても、普段の勉強用や買い物に持ち歩く手軽な事典には載っていないケースはよくあります。

なぜなら、薬膳はもともと中国で生まれ、発展したもの。そのため、欧米で「スーパーフード」と言われて近年日本に入ってきたものは、事典に載っていないことが多いのです。

もともと日本では馴染みのなかった食材やお茶でも、今では普通にスーパーやコンビニで買えるようになったものもたくさんあります。
また、日本では海外由来のトレンド食材やスイーツがブームになることも少なくありません。

一過性のブームの場合、数年後に見かけなくなるケースもあるため、わざわざ手軽な食材事典には掲載されないという背景もあります。

2.事典に頼らない!初めての食材の効能を見抜く「6つの予測ルール」

実際に私が初めて見る食材に出会ったときや、事典に載っていなくて効能がわからないときは、次の「6つのポイント」に注目して効能を予測しています。

ルール1: 原産地と旬から「食材の性質(寒熱)」を予測する

ルール2: 色・味・水分量から「五臓のつながり」を導く

ルール3: 食べた後の「体の感覚」を五感でキャッチする

ルール4: すでに分かっている「似た食材のグループ」に当てはめる

ルール5: 植物の「科(アブラナ科・シソ科など)」から連想する

ルール6: 現代の「栄養成分」を薬膳の言葉に翻訳する

では、具体的にどのようにこのルールを使っていくのか、実践編を解説します。

3.【実践編】グループや特徴で分ければ効能予測が簡単になる!

まずは、簡単に実践できる3つのアプローチからご紹介します。

①「食材のグループ」から予測する(ルール4):芋類・豆類

例えば、芋類や豆類なら、基本的にはエネルギー(気)を補い、パワーをつける「補気(ほき)」の効果があります。

そのベースを押さえた上で、「豆類なら、胃腸を丈夫にして水分代謝を活発にさせる効能が加わるな」というように、グループごとの共通点から予測を広げていきます。バラバラに覚えるより、ずっと楽になります。


②「色や味」から予測する(ルール2):赤・黒の食材と酸味

食材の「色」や「味」は、中医学の五行説において五臓と深く連携しているため、大きなヒントになります。

赤や黒の食材なら「血(けつ)」を想像できるので、血を補う「補血(ほけつ)」食材の可能性が高いと予測できます。
「補血」ができるなら、「血を貯蔵する『肝(かん)』にアプローチしそうだな」「黒い食材なら生殖や老化に関わる『腎(じん)』にも良さそうだな」と繋がっていきます。

また、味に「酸味」があるなら、汗や尿など出過ぎるものを引き締める「収れん作用」がありそうだと予測を立てられます。
さらに、水分量が多い食材は、体の熱を冷ますものが多い傾向にあります。

③「原産地や旬」から予測する(ルール1):南国育ちか北国育ちか

その食材が、暑い南国で夏に採れるものなら、体にこもった熱を冷ます性質(涼性・寒性)であると予測できます。
逆に、昔から寒い北国で冬に食べられてきたものであれば、体を内側から温める性質(温性・熱性)の可能性があると考えます。

4.単なる暗記で終わらせない!「体と現代栄養学」で覚える薬膳の効能の活かし方

ここからは、さらに予測の精度を上げ、知識を定着させるための強力なアプローチです。

現代の「栄養成分」を薬膳の効能へ変換する(ルール6)

薬膳の効能としてはピンと来なくても、現代栄養学的な成分なら馴染みがある、という方も多いのではないでしょうか。
「貧血の時は鉄分が良い」「ビタミンCは風邪の時に良い」などは、すでによく知られていますよね。

それを薬膳の効能に置き換えて考えてみるのです。

  • カルシウムが豊富: 骨の発育や維持を司る「腎」にアプローチしそう
  • 葉酸、β-カロテン、鉄分が豊富: 血液の質を高めてくれるため「補血」の効果があり、血液を貯蔵する「肝」にアプローチしそう

このように置き換えることで、自分自身も納得できる上に、薬膳でその食材の効能を説明するときの立派な「エビデンス(根拠)」にもなります。
そのため、私は食品成分表でその食材の栄養成分を調べるようにしています。

食べた後のポカポカ・スッキリの「リアルな感覚」を大切にする(ルール3)

常温の状態で食べたのに、なんだか体がスッと涼しくなる感じがする。あるいは、冷えていた体が食べた後にポカポカし始めた……。こんな実体験は、食材事典で読んだだけの知識よりも、はるかに深く記憶に残るものです。

例えば「緑茶」を例に挙げてみましょう。
緑茶は体にこもった熱を冷ます「涼性」の性質を持ちます。
温かい緑茶は飲んだ直後こそ温まりますが、食材本来の性質は体を冷ますものです。

この性質を知らなかった受講生の方が、こんな風におっしゃっていました。 「冬に冷えた体を温めようとして、ずっと熱い緑茶を飲んでいました。でも、しばらくするとまた冷えた感じがして、また飲む……を繰り返していたんです。緑茶が体を冷やす性質だとは知りませんでした。」

その食材を食べると冷える感じ、ポカポカする感じの他に、お腹が張る感じがする、逆にスッキリする……など、五感で感じた感覚を大切にしていると、食材の効能を単なる暗記ではなく「使える知識」として落とし込みやすくなります。

植物の「科」から連想する(ルール5)

野菜やフルーツが植物分類学上で「何科に入るのか」を調べることも、非常に有効なアプローチです。

例えば、新しく出会った「えごま」の効能が分からなかったとします。

そんな時、えごまが「シソ科」の植物であることを調べられれば、すでに効能をよく知っている同じシソ科の「青紫蘇(あおじそ)」の特徴から、「きっと温める性質だろうな」「巡らせる力や抗酸化力がありそうだな」と、なじみのある食材をベースにして想像することができます。

5.薬膳の効能の覚え方、コツを掴んで薬膳をもっと身近なものに!

事典に載っていない食材に出会ったら、まずは芋類、豆類、種実類など、大きめのグループに分けるところから始めてみましょう。

食材の味や色、原産地も大きなヒントになります。
そして、予測の説得力を高めるためには、栄養学の成分を薬膳の効能へ変換してみるのがおすすめです。

何より、実際に食べた後に「自分の体がどう感じるか?」を意識することが、暗記だけで終わらせない、生きた効能の覚え方を定着させる重要なポイントになります。

この6つのルールを使って食材の効能が予測できるようになれば、どんな新しい食材に出会っても「全く分からない」と困ることはなくなります。「暗記してもすぐに忘れてしまう」という悩みを卒業し、毎日の暮らしで実践できる楽しい薬膳へと、一歩進めていきましょう!

あわせて読みたい
ひよこ豆を使って夏の代謝アップ!薬膳カレーや薬膳サラダにひよこ豆を使う4つの理由と合わせるおすすめ...     夏はカレーの季節ですね。 スパイスカレーや薬膳カレーを作ってみたいという方も多いと思います。 市販のカレールーを使ったとしても薬膳カレーはできる...
あわせて読みたい
鹹味(かんみ)とは?塩味との違いと、薬膳で腎を養う食べ物を徹底解説 「鹹味(かんみ)」と聞いて、すぐに味のイメージが浮かぶでしょうか。 薬膳を学んだ方でも、他の「酸味・苦味・甘味・辛味」と比べると、どうしても掴みにくい味かもし...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。
薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

目次