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お米が高い時の”かさましごはん”で体を考えた食材選び


お米の値上がりに負けない!薬膳の知恵で「米のかさまし食材」を上手に使い、栄養たっぷりの健康ごはんに。

体にやさしい簡単レシピも紹介。

米が高い今、食卓の見直しがチャンスに

お米の価格がどんどん上がり、家計を圧迫するようになってきました。

日々の食事で欠かせない存在だった「ごはん」が、気軽にたくさん炊けなくなるというのは、多くの家庭にとって悩ましい現実でしょう。

でも、だからといって食事の栄養バランスを落とすのは避けたいところ。

むしろこの状況を、毎日のごはんを見直すチャンスととらえてみませんか?

 

炊きたての白いご飯をたっぷり食べられるのは、もはや贅沢?

 

実は、薬膳の視点を取り入れると、「少ないお米」でも「満足感」と「栄養価」を同時に満たす食事を作ることができます。

この記事では、戦時中の知恵にも学びつつ、薬膳の理論に基づいた「かさ増し薬膳ごはん」の考え方と実践法をご紹介します。

お米不足、価格の高騰に対して「ただ我慢する」のではなく、「今だからこそ健康的な食事にシフトする」きっかけに変えるヒントをお届けします。

 

昔の知恵に学ぶ、かさましごはんの工夫

第二次世界大戦中や終戦直後の日本は、深刻な食糧難の時代でした。

食糧不足により白米だけのごはんが難しく、多くの家庭が芋や豆、雑穀などを加えて「かさ増しごはん」を作っていました。

例えば、さつまいもやじゃがいもを細かく切ってお米に混ぜて炊いたり、芋がら(乾燥した里芋の茎)を刻んで雑炊にしたり。

当時はやむを得ない事情でこれらは米を節約する工夫でしたが、同時に、今の目線で見ると栄養価を少しでも上げる工夫でもありました。

現在、私たちは米の不足や高騰という、ふんだんに食べることが躊躇われる状況です。

こんな時こそ、かつては仕方なくやっていた知恵から学び、食材を「選んで」取り入れることができます。

 

米の栄養をどう補う?薬膳の視点から考える

薬膳は中医学の考え方に基づいています。

薬膳(やくぜん)は、中国伝統医学「中医学(ちゅういがく)」の考え方をもとに、体調や季節に合わせて食材を選ぶ知恵です。

薬と聞くと難しそうに思えるかもしれませんが、「自分に合う食材を知って、毎日を健やかに過ごす方法」と考えると、意外と身近です。

中医学では、体のエネルギー源である「気(き)」や血(けつ)を食事によって補い、バランスを整えることを重視します。

胃腸の働きを助ける働きを「脾(ひ)」と呼び、脾が元気であれば、食べたものからしっかり「気(き)=エネルギー」や「血(けつ)=栄養」をつくることができ、疲れにくく、病気にかかりにくい体がつくられます。

お米(特に白米や玄米)は、五穀のひとつであり、「脾(ひ)」という消化吸収を司る臓器を助けるとされています。

しかし、お米が高騰してたっぷり使えない今、薬膳的にどのような食材で補えばよいのでしょうか?

米の代わりに、小麦を使った麺類やパン、粉物を使うのも一つの方法だとは思います。

でも、私達日本人は、米を主食として長年生活して来ました。

一切の米を止めることは不可能でしょう。

そんなときに使えるのが、脾を助けたり、気を補ったりする“かさまし食材”です。

米に、このような”かさまし食材”を選んで加えるのがポイントになります。

また、薬膳では「旬」や「その人の体調」に応じて柔軟に食材を選ぶのが基本です。

たとえば、梅雨から夏にかけては湿気が多くなるため、「湿(しつ)」(体内の余分な水分)」を体に溜め込まないようにする食材を選ぶことも大切です。

 

少ない米をサポートする、おすすめのかさまし食材

ここでは、お米の量を抑えながらも栄養価を保ち、薬膳的にも体を助ける食材をいくつかご紹介します。

たとえば以下のような食材が挙げられます:

山芋(長芋):消化を助け、疲れにくい体をつくる。エイジングケアに

黒豆:五臓の腎(じん)と脾を補って水巡りを整える。エイジングケアにも。

にんじん:脾を助ける。貧血予防や美肌にも。

さつまいも・じゃがいも:エネルギーを補い、胃腸にやさしい。

雑穀(あわ、きび、はとむぎなど):それぞれ薬膳的な働きがあり、特にはとむぎは湿(しつ)を排出する働きがあり、梅雨時にもおすすめ。

これらを上手に使えば、少ないお米でも「満足感・栄養・体のバランス」を整えられるごはんが完成します。

 

すぐに作れる!かさまし薬膳ごはんレシピ

実際にどんな風に使えるの?という方のために、簡単でおいしいかさましごはんレシピを2つご紹介します。

【レシピ1】
長芋と黒豆の胃腸にやさしい滋養炊き込みごはん

<材料(2〜3人分)>

白米:1合

長芋:5cm(皮をむいて角切り)

黒豆(乾煎りしたもの):大さじ2

にんじん:1/3本(角切り)

塩:少々

<作り方>

1.白米をといで炊飯器に入れ、いつも通り水を加える

2.長芋・黒豆・にんじんを加え、軽く塩をふる

3.通常通りに炊飯して完成。

ほんのり甘みがあり、胃腸にもやさしい滋養ごはんです。疲れがたまっている時や、食欲が落ちているときに。

 

【レシピ2】
入れるだけの湿気対策炊き込みご飯

<材料>

白米:2合半 

煎りはと麦:大さじ1

切り昆布:一つまみ

とうもろこしの髭:一つまみ

枝豆(冷凍でも可):適宜

<作り方>

1.米を洗い適量の水を入れておく。そこに、はと麦、切り昆布を入れる。

2.とうもろこしの髭はお茶パックに入れて1に投入。

3.全体を軽く混ぜて普通に炊く。

4. 炊きあがったら、さやから出した枝豆を彩りよく混ぜて完成

あるものをただ米と一緒に炊飯器に入れるだけで包丁を使わずに作れます。

不要な水分を体から排泄させる効能のある食材を使った雨の日や湿度が高い日におすすめの炊き込みご飯です。

 

米高騰でも健康に食べるための知恵が薬膳にある

「米の値上がり」というピンチと捉えられがちな状況を、健康的な食習慣への転換点にできるのが薬膳の魅力です。

薬膳は「制限」ではなく「工夫」の知恵。

「かさまし」と聞くと、ネガティブなイメージがあるかもしれません。

でも、薬膳の視点を取り入れれば、それは単なる節約が目的ではなく、自分と家族の体をいたわる豊かな知恵になります。

中医学・薬膳の考え方は、「体質・体調・季節に合わせた食材選び」が基本。

・季節や気候に合わせる
・自分の体質・体調を見て食材を選ぶ
・食材の持つ意味と力を知る

この視点があるだけで、台所仕事がちょっと楽しくなり、体が少しずつ整っていく感覚が得られるはずです。

これを毎日の食事に少し取り入れるだけで、体のリズムが整い、調子がよくなることも少なくありません。

お米の価格が高いこの時期、ただ我慢するのではなく、食材選びの工夫で健康を手に入れるチャンスに変えてみませんか?

「少ないお米で、しっかり栄養」「旬の食材で、心も元気」
そんなごはんが、私たちの食卓を豊かにしてくれるはずです。

 

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森澤孝美

「なかったことにする薬膳」と「簡単エイジングケア薬膳」でアラフィフをサポートする簡単エイジングケア薬膳講師。お惣菜でも外食でも選び方の理論が分れば薬膳になる。レシピが無くてもコツを掴んで実践できるとご好評。個人セッションも受付中。 薬膳食療法専門指導士。中医学と薬膳を学んだ後、多忙で食事が手作りできない人でも取り入れられる簡単エイジングケア薬膳講座を展開。日本全国より受講される。

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